マガジンのカバー画像

生物学に特化した短編小説とエッセイ / Bio Novels

55
運営しているクリエイター

#生物学

GeneSourceTree -9

第九話 またね  最終日になった。  あのかけっこ以来、僕らは少し距離を縮めた。  ハルの…

1

GeneSourceTree -8

第八話 走るみたいにして  何回かローテーションして、シュウイチと僕が走ることになった。…

3

GeneSourceTree -7

第七話 かけっこ 「ねえ、かけっこしようよ」  最後の一週間まで、トウマとシュウイチは少…

1

GeneSourceTree -6

第六話 ナチュラル・セレクション  シュウイチの第一印象はか弱そうな男の子だ。だけれど知…

GeneSourceTree -5

第五話 森の匂い  僕はしばらくの間、シュウイチを観察していた。  小さい身体、黒い髪、…

GeneSourceTree -4

第四話 GeneSourceTree  寝泊まりするための施設は十分にそろっていた。このプログラムでは…

GeneSourceTree -3

第三話 インテリジェンス・デザイン 「それぞれ自己紹介しよう」  一番歳上らしい子が言った。背が高くて、髪が短くて黒い。  細胞の分化後にも遺伝子を組み替えられるからと言っても、体形を大幅に変えるのは成長しきってからだと、少し厳しい。  多分この男の子は背の高さが有利になるようなスポーツのパフォーマーになろうとしているのだろう。あるいはすでになっているのか。  僕は周りを見渡した。僕らはちょうどお屋敷のなかの広間の畳の中央に、円陣を組むようにして集まっていた。  僕の隣には

GeneSourceTree -2

第二話 馬鹿げてる  日が暮れかける頃、僕たちはようやくログハウスに着いた。  12から14…

すこし早めのジャッジメントデイ 4 【連載小説】

「ポイントに着いたよ」 「あなたが連絡をしてくる時点でそんなことは分かっているわ。良いか…

3

すこし早めのジャッジメントデイ 3 【連載小説】

 人類に対する災厄。少し早めの審判(ジャッジメント)の日(デイ)。食糧危機は前世紀から叫ばれ…

5

すこし早めのジャッジメントデイ 2 【連載小説】

 僕の話をしよう。僕は煙草が大好きな、彼女に言わせれば知性がかけている当年とって28歳の政…

1

すこし早めのジャッジメントデイ 1 【連載小説】

 僕は歩きながら煙草を取り出す。紫煙をくゆらして周りを見渡す。田舎道。米所で有名なだけあ…

2

屋上のバイオテロ -後編- 【短編小説】

1コール。2コール。3コール。 いくら電話をかけようとしてもミヤノは出なかった。俺は授業を…

4

屋上のバイオテロ -中編- 【短編小説】

結局まよったあげく、俺はミヤノに連絡を取ることにした。ミヤノが学校に来なくなってから、10日くらいたっていた。もしかしたら、ミヤノは怒っているかもしれないが、まあ、あれでわりに温厚な奴だから、許してくれると思いたい。 俺は端末でメッセージを打った。 『この前は悪かったな』 『最近学校に来てなくて、みんな心配してる』 あまりこういうコミュニケーションは慣れていないから、うまいこと書けていないようなきがしたが、とりあえずメッセージを送った。 しばらくミヤノから返信はなか