半導体を用いた未利用熱からの発電システムの開発と社会実装を目指す【株式会社elleThermo】
令和6年度「たけはらDX」で採択された起業家およびスタートアップ企業4者のご紹介をしていきます。
今回は株式会社elleThermo(以下、elleThermo)です。
なぜやっているか
STCの社会実装とエネルギー問題の解決
elleThermoは東京科学大学発のコア技術である「半導体増感型熱利用発電(Semiconductor-Sensitized Thermal Cell, 以下STC)」の社会実装および世界のエネルギー問題の解決を目的に設立されたスタートアップ企業です。
安全・安心、かつ資源に頼らないシステムによるエネルギー問題・資源問題の解決を目指しています。
STCを活用することで、室温以上の未利用熱から電力を生み出し、限られたスペースを有効に活用できる安定した発電システムを世界に届けることをミッションに掲げています。
熱による発電といえば熱伝発電など、温度差により発生するエネルギーで発電する方法はすでにありますが、STCの特徴としては、熱そのものによって発電することができるという点です。
家庭でいうと、冷蔵庫の後ろ側では熱を感じることができますが、その熱をそのまま電気として利用できるようになるといったことを可能にするのがSTCです。
しかも繰り返しの発電が可能ということですから、将来的には冷蔵庫の排熱により発生させた電気を蓄電池に貯め、センサー等のmW級の給電に用いられる可能性があります。また、将来的に発電可能な電力量が増え、冷蔵庫を稼働させるために用いることができるようになれば、冷蔵庫の排熱による省エネができるようになる、ということも夢ではなくなってくるかもしれません。
電気を使うことで発生した熱によって繰り返し発電することができるようになれば、持続可能でクリーンな発電方法ということになり、世界的な課題となっているエネルギー問題や環境問題への解決策になり得るでしょう。
どうやっているか
半導体増感型熱利用電池STCによる発電
ではそのSTCというのは一体どういったシステムなのでしょう?
STCは、化学系太陽電池である色素増感型太陽電池の仕組みを応用した発電素子です。
色素増感型太陽電池では、光が射すことにより電極上の色素で電子が生まれ、それを元に発電しますが、STCでは電子の発生源を、半導体を構成する原子に熱が加わり生じる振動に置き換えて発電します。
「原子を振動させるほどの熱」というと、ある程度高温でなくてはいけないのではないか?とイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、STCでは室温程度のいわゆる低温度帯に存在する熱により発電ができることが大きな特徴です。
また、先述した通り、繰り返しの発電が可能で、これまでに恒温槽の熱を使ったBluetooth通信や、鉱山の熱によるリチウムイオン電池の充電など、幅広いユースケースが報告されています。
当該技術の原理や詳細についてさらに詳しく知りたい、という方は公開総説やelleThermoのYoutubeチャンネルをチェックしてみてくださいね。
たけはらDXでの取り組み内容
そんな革新的な技術を携えたelleThermoは、たけはらDXで以下の実証事業に取り組みます。
STCを用いて蓄電池へ蓄電し、センサー駆動デバイスを動作させるために必要な電力量を発電し得るかどうかを検証する
1~2週間程度の継続利用による実証実験を行う
今回の実証事業によってSTCの実社会におけるユースケースを開発し、実証を通じたデータ収集・分析行うことで、STC技術の有効性と潜在的な課題を明らかにし、本格的な社会実装へ向けたインサイトを獲得することを目指します。
また、STCを地域課題の新たな解決策となるプロダクトにすることで、排熱活用および再生可能エネルギー活用による産業振興・まちづくりへの貢献が期待されます。
elleThermoと竹原がコラボレーションする本プロジェクトの情報は今後もこちらのnoteで紹介していきます。乞うご期待!!
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