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ドラマ「クロサギ」の続編が本当に作られるならこれが観たい


原作を使い切った後の続編は危険ではあるが

 平野紫耀主演の「クロサギ」続編が作られるという、どこまで信じて良いのかは微妙な情報が少し前からたびたび報じられている。原作ファンとしては、2回目の実写ドラマはけっこう気に入っているのだが、御木本・宝条の二人の宿敵を倒してきれいに終わった物語の続編となると…。二匹目のどじょうを狙った無理な続編でヒット作の余韻が台無しになる例は多い。不安の方が大きい。

 再ドラマ化に合わせて発表された原作の新編は「クロサギ再起動」であり、時系列は御木本を倒した後で宝条との闘いがはじまり、公証人の犬伏とは既に出会っている頃の、まだ語られていなかった物語という体になっている。設定も少しだけ変わっているので、タイトルの通り、ヒーローものの洋画やアメコミでよくある再起動リブートなのだろう。

 だとすれば実写の新作も、続編としての連続ドラマではなく再起動として、一話完結の映画か2時間ドラマで作ってみてはどうか。それならば私もぜひ観たいと思う。

 再起動であれば、連続ドラマの流れから少々はみ出した大胆な内容でも許容できる気がする。ここは原作ファンとして、これがお勧めというより、単に自分の好みで「これが観たい」というのをいくつか提案してみよう。

案1 貧困ビジネス詐欺+ロマンス詐欺(犬伏の回)

 黒崎の「唯一の友だち」の爺さんと、宝条との闘いにおける相棒となった公証人の犬伏。ドラマの話数が足りなかった都合で登場しなかったが、この二人を生かさないのはあまりにももったいない。

 死が迫る爺さんの目から見た黒崎は、まだ子供みたいな若者が、復讐に生きる生き方しか選べなかった(黒崎本人は復讐だと認めなかったが)哀しみを描くのに重要な役割を持っている。

いいか、じじいというものはな、たとえ、何があろうと!どれだけ人生に怒り、世をねようとも、やはり、若者には前を向いて生きていってほしいと願うものなんだ!!

「新クロサギ」10巻 貧困ビジネス詐欺 より引用

家族の…敵討ちなんかじゃない。おれにはそんな資格はない。家族じゃないから……!

「新クロサギ 完結編」 4巻より引用

 そして爺さんの紹介として現れる、公証人の犬伏。本物の法律家としての知識で黒崎を援護する。老練な詐欺師達を相手に若造の黒崎が勝ち続けるのは、本当なら犬伏の存在が無ければやや説得力に欠ける。そんな犬伏が作った本物の契約書で叩きのめされる最初の敵として「出会い工作詐欺」はあまりに小物だが、いま被害が広がっている「ロマンス詐欺」と絡めて脚本を作ってみてはいかがか。

案2 不動産詐欺+地面師詐欺(白石の回)

 やはり、山本耕史が演じる白石で「不動産詐欺」の切ない結末が観たい。ちょっとキザな感じも彼なら似合うと思う。白石の元恋人、星谷の役は吉田羊を推したい。

「そういう、ことか…。」
「そういうことさ。」
「…じゃあ…、その『情報提供者』に伝えてくれ…。けじめをつけるからこのことは忘れろ。責任を感じる必要なんかない。最後の幕引きは、こっちでやるから、と――――」
(中略)
「本当に、会わなくて良かったのか?」
「会って何を言うっていうの?彼が言ってたでしょ、『もう忘れろ』と…。」

「クロサギ」8巻 不動産詐欺 より引用

 そして山本耕史と言えば、あのNetflixのドラマ「地面師たち」で何と、巨額の地面師詐欺の被害に遭う不動産会社の幹部社員を演じている。これはもう、白石として地面師詐欺を騙し返すしかない。そして騙されるシロサギ役はもちろん豊川悦司に演じてもらいたい。あのハリソン山中の凶悪な存在感なら御木本や宝条にも引けをとらない。まぁ、実現は無理だろうけど。
(ちなみにクロサギに地面師詐欺は出てこなかったのでオリジナルの脚本になる)

案3 18歳新成人詐欺(原作:クロサギ再起動)

 まだ使っていない原作「クロサギ再起動」の18歳新成人詐欺を使うのも良いと思う。大人の仲間入りをした若者たちは、今の世の中が厳しいことは嫌というほどわかっているはず。そんな若者たちが自力でなんとかしようと考えた時、悪い大人に食い物にされてしまう。

「たとえ内容に多少の偏りがあろうとも、判をつけば有効。裁判でも絶対にくつがえせない。彼らはその現実を教わっていない。」

「クロサギ再起動」より引用

 被害を防ぐ為に、ドラマを通じて広く知ってもらうことには意味があると思う。

 原作の最終話同様、黒丸の新作「東京サラダボウル」の二人が出演して、そのまま「東京サラダボウル」の連続ドラマ化に繋げていってもらいたい。

作ったら観るけどね

 好きな作品の実写化というのは、原作ファンからすればたいていの場合、期待と不安が入り混じった複雑な気持ちになる。それでも実写「クロサギ」の新作が出たら、テレビドラマであれ映画であれ、私は観るだろうと思う。ひとまず本当に作られるのか静かに様子を見ておこう。