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シャネルとユーズド

訴訟天国アメリカでベンチャー起業すると、大企業や大手ベンチャーから脅しの「Cease and Desist Letter」(停止命令警告状)が送られてくることもしばしば

2012年に、NYでラグジュアリーファッションの二次流通事業マテリアルワールドを立ち上げて、2014年頃に初めての警告状がシャネル他、複数の米国大手百貨店・ブランドから送られてきた時、警戒心の強い共同代表があたふた心配する一方、私は「ヨーロッパの一流ブランドからも認知されたんだから、快挙!」と当時甘い判断を下していた

ベンチャー界にはAsk for Forgiveness, Not Permissionという考え方が価値観として存在する。アメリカ海軍女性軍人・コンピューター科学者だった亡きグレース・ホッパーさんの名言で、訳すと「やりたい事があるなら、迷わず実行しなさい。やっていいかどうか、許しを得るよりも、やってから許してもらった方が簡単だから」という、圧倒的な行動主義派で 、多くの起業家がリスクをとって行動をとる際に浸透してきた考え方でもある

ただ、リスキー過ぎる行動は、時には一気に潰される

弊社は一度2017年に潰されかけた

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マテリアルワールドでは2014年頃より米国の大手ブランドや百貨店と組んで、お客さんのいらなくなった洋服を、現金ではなく、ブランドや百貨店の商品券で即時買取して事業を成長させていった。アップルアマゾンの買取トレードインプログラム等、電化製品や自動車業界同様、ファッションも業界主導で買取・アップグレードしていくべきだと考えていた

2015年には、自社金融商品として「MWファッションデビットカード」を作り、弊社の指定先百貨店・ブランド店舗700店舗どこでも使えるファッション通貨として商品を作り込んでいた。私は全米各地にある大手百貨店本社の経営陣への営業にほぼ全ての時間を費やしていた

2017年のとある日、弊社米国アドバイザーよりいきなり電話がかかってきた

「ヨーロッパのブランド2社が全米百貨店に対して、ユーズド事業者と関わりのある百貨店からは商品を即撤退させると圧力をかけているそう。今回の流れはやばいぞ」と

その電話の翌週には、弊社と同業他社含め、百貨店と関わりのある米国中のどのパートナーシップも見事なスピード感で一気に解約されていった

まさにラグジュアリー業界対ユーズド業界の戦争

そこから、業界と組んで事業を成長させていくマテリアルワールドの事業モデルを一気に変える必要があった

初妊娠したところで、極めて不都合なタイミングでもあった

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2019年になり 生き延びて 新サブスク事業で成長してきた今

2-3年前とは見える風景が変わってきた

ユーズドは米国ファッション業界で一番成長している最重要カテゴリーに

数年以内にはファストファッション業界以上の規模にも

環境問題を意識するユーザーのメインストリーム化もあり

どのブランドも百貨店もユーズドやレンタル業界とパートナーシップを求めはじめている

最早アンダードッグではなく

新たな消費カルチャー作りに関わっている事が肌で感じられる

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一方、シャネルはまだ戦い続けているよう

昨年末の2018年11月、シャネル社は、米最大手の中古ラグジュアリーECサイト、ザ・リアルリアルを提訴。同社がシャネル商品のプロ査定団と位置付けているのに模倣品を販売しているとして、販売の差し止めなどを求めニューヨーク州連邦地方裁判所に提訴した

ただ、今回のブランド側からの提訴に対し、同社は強気な姿勢で「シャネル社はアンチ消費者だ」とクレームして戦う姿勢をみせている。ユーズド業界側がラグジュアリーブランドに立ち向かう最初のケースかもしれない

まだまだ戦いは続きそうだが シャネルのような質の高く、長持ちし、世界中の人から愛される商品をつくるブランドが主導で商品を循環させていく日もそう遠くはないと感じている

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NYベースの起業家。Material World CEO & Co-Founder。 www.materialworld.co
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