奇跡のような一瞬を人生のあちこちで見たいから

泳ぐことが習慣になってきたけれど、なかなか体重が減らない。「きっと筋肉になったんだよ。腕に筋が入ってる!」と姪っ子は言ってくれるけれど、たぶん慰めだと思う。

習慣になったと書いたけれど、半ば強制というのが本当のところだ。泳ぐことが楽しいのが救いだけれど、週2回は必ず泳ぐと決めたのには、訳がある。体力をつけて、サーフィンを楽しみたいから。

友人達のホノルルマラソン出場にくっついて、初めてハワイに行ってみた時、一人だけすることのない私は、なぜかサーフィンスクールに参加した。

広い広い海で、大きなハワイアンの先生がボードに横たり、片足を私のボードの先端にひっかけ、恐ろしく遠い沖へと運んでくれる。いい波のポイントに辿り着いたら、早速波に乗る。というか、乗せてくれる。

「パドルパドルパドルパドル」と言われてる間は、ボードにうつ伏せの状態で水をかく。そのあと号令どうり、立って前を見つつバランスをとると、先生がボードを力強く押してくれるので、初心者でも波に乗れる。

初めて波に乗った時のことは今でも思い出せる。楽しすぎて笑いが止まらなかった。遠くにかすかに見えていたワイキキが近くになるまで、笑い続けて終わった。

それが初めてのサーフィン。

それから色んなサーフィンスクールに参加したが、最近参加したところが、鬼のように厳しい先生だった。なんと今までのように沖まで連れて行ってくれなかった!当然といえば当然だけど、一気に真っ青に。

自分の腕の力だけで沖へと向かわないといけない。案の定、死にそうになりながら、渾身の力を振り絞りポイントに着いた頃には、私の体力は既に限界を超えていた。

「YOU!!!体力なさすぎ!!!!」

厳しい先生の罵声が飛ぶ。モーニングシャワーの中、一体私は何をしてるんだろうとどん底な気分になりながらも、必死に先生の指示に食らいついた。

この必死さはいつもどうりの日常では、殆ど顔を出すことのない私の一面で、どうやら自然を相手にした時じゃないと出てこないようだ。

また先生がこっちを向いて何か叫んでる!なになに??と思いながら、先生の指差す方向を見ると、細かい雨の先にダブルレインボーがかかっていた。

「海の神様からのプレゼントだ。」と先生がおっしゃってる。「朝から頑張ったからね。」

こういう一瞬。自然から生まれる奇跡のようなこういう一瞬を目の前にした時、心の底から大きな喜びを感じる。

こういう一瞬をもっと自分の人生のあちこちで見られるといいなと思っていて、その一環として、体力が欲しいわけです。

最後までお読み頂きありがとうございます。 いとうれしです。