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お豆腐の映画が思い出せてくれたこと。

映画『高野豆腐店の春』、公式ライターとして参加しています。藤竜也さんの作品は、『台風家族』『それいけ!ゲートボールさくら組』に続いて3作目のご縁。またご一緒できるという嬉しさのなかで、もうひとつ嬉しかったのは、お豆腐屋さんのお話だったこと。私の母方の祖父がお豆腐屋さんだったこともあり、ああ、おじいちゃんとおばあちゃんがご縁を持ってきてくれたのかなぁと、今は亡き祖父母のことを思い出しながら撮影現場に通っていました。

麻生久美子さんのセリフに「柔らかくて、甘くて、豆本来の苦みも残して」とあります(予告映像で流れています)。おじいちゃんの作るお豆腐も、まさにそういうお豆腐でした。大豆の香りがする木綿豆腐、厚揚げ、油揚げ、がんもどき、どれも肉厚で本当に美味しかった……と気づいたのは、実は大人になってから。十代の頃におじいちゃんが亡くなって、おじいちゃんの豆腐を食べられなくなって。おじいちゃんの豆腐じゃない豆腐は、美味しい豆腐でも何かもの足りなさがありました。そして、この映画と出会って、ああ、生まれてからずっと、とっても美味しい豆腐を食べてきたんだと、気づいた。気づかされました。なのに、たぶん一度も「おいしかったよ」って言えてないんですよね。「おいしかったよ」って伝えたかったなぁって。しばらくお墓参りに行けてないので、次に帰省したときには「おいしかったよ」「ありがとう」って伝えてこようと思います。

その“伝える”というのも『高野豆腐店の春』で描かれている大事なことのひとつです。藤竜也さんの演じる父と麻生久美子さんの演じる娘の親子の物語であり、豆腐を作る職人の物語でもあり、お互いなかなか気持ちを伝えられなくて……というような、誰もが自分ごととして受けとめられる感情が映し出されています。尾道の街を舞台にした、とってもあたたかいお話です。

公開は8月18日です。


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