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偉大なるパンダさん
娘がキーホルダーやストラップのついた10センチくらいの小さなぬいぐるみを処分した。
綺麗なものはもらっていただいて、その以外は今までありがとうと感謝してさようなら。
その娘がもういらないかな、と出してきた中にあった少し大きめ、大人の手のひらサイズのパンダさん。
うわーっと思い出がよみがえり、私は捨てられずにコルクボードにかけた。
キミはムリ。しばらく眺めよう。
まだ娘が就学前のこと。
おばあちゃん家までひとりで行かなければならなかったある日、これをお守りがわりにして送り出した思い出がある。
大人なら徒歩5、6分位の距離だけれど。
車の往来の多い大きな横断歩道を渡るので、初めてひとりで行くときは不安だろうと思い、
パンダさんが一緒に付いて行ってくれるからね、と首からぶら下げた。
あの時の娘の眼差しが今でも忘れられない。
パンダさん一緒に行ってね、と真剣にパンダにすがるような眼差し。
ママは行けないんだよね、という眼差し。
ちょっと引っ込み思案で、いつも私や姉のあとにくっついて歩くような子だった。
上の娘は冒険家のようにひとりであちこち行ってしまい何度も迷子になるような子だったけれど、この娘はいつも手を繋ぎたがって歩くか、繋げない時にもぴたりとそばにいるような子だった。
娘から
「ママ、パンダさんと一緒に行けたよ」ときちんと辿り着いたという報告を受けた時、泣きそうだった。
偉いね偉いねって。
そして、こんなぬいぐるみに押し付けてごめんよって。
パンダさん偉大過ぎるよって。
そのあとも何度か持ち歩くことになり、守護神的な役割を担っていたパンダさん。
きっと心細くなったらぎゅっと握りしめて勇気をもらったはずだ。想像だけど笑
娘は「あーなんとなくー」とうろ覚えで何の感慨もないけれど。
でも私にとっては
その偉大なパンダさんなんだもの。
断捨離得意な私でもキミを手離すのは辛すぎる。
だからもう少しここにいてください。
私の感情が整理されるまで。
それまで目一杯の感謝を…。
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