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新しい朝が来た。2021年の春は、2012年の夏に似ているからー野村佑希と万波中正の活躍を見ながらー初めての連勝だよファイターズは。

2021 4/10  京セラドーム大阪  Bs×F  2対5

昨日は、仕事で試合は録画で飛ばし見しかできませんでしたので、詳細は、ファイターズ公式リンクなどでどうぞ😀


2012年。北海道日本ハムファイターズに栗山英樹監督就任。現役時代も短く指導者経験もないテレビコメンテーターの抜擢は、疑問や批判を浴び、栗山さんは、初めから苦境に立たされていた。

栗山さんの現役時代、当時のプロ野球選手には珍しい高学歴、教育学部出身と話題になっていた。小柄で可愛らしく、アイドル人気も高し。もちろん根っからのミーハーなわたしも好きな選手だったが、度重なる故障や病気で、早々に引退することになる。

当時は「メニエール氏病が治らない」と報道されていた。突発性難聴も同様に三半規管の故障は、過労とストレスが主原因。甲子園球児でもなく、大学も野球に特化した生活を送ったわけでもなく、情熱だけでプロ野球の門を叩き、ヤクルトスワローズに入団した栗山青年にとって、プロ野球の現場は想像以上に過酷だったんだなあと、想像できる。

栗山さんが引退したのは、バブル景気も居残る華やかな頃で、野球評論家と名乗っている芸能人のような扱いだった。歌を歌ったりモデルになったり。そういう引退選手は、他にもいたが、テレビ業界に生き残ったのは、栗山さんだった。

思い起こすと就任当時に執拗なまでに悪口を叩き、「できるわけがない」と否定し、「栗山なんかダメだ」と罵るのは、野球関係者の発言、身の回りの素人談義、知る限り、中年以上の男性だった。

やってみてもいないのに、なんでこの人たちは、ここまで悪口をいうの? 

コーチ経験もない、現場を知らない人間に何ができる?

そういう感覚があったのだろうか。

よくわかんねーけど。きっとあるんだろうな。と今ならわかる。前例のないことを日本のあらゆる現場は嫌うけれど、プロ野球の世界は、よりもっと強くある、野球ムラだから。

多くのプロ野球監督が、踏んできた手数を踏まずに、何の苦労もせずに、いきなり現場に君臨するーそれは、一言で言うたら「ずるい」という気持ちなんじゃないだろうか。

しかし、もしもそれが本音だとして、あからさまに言うことは、また恥ずかしいし嫉妬してる羨ましがってると思われるのもみっともないわけで。だから「出来るわけがない」「ダメに決まっている」ー「俺の考えが正しい」って方向に行くんでねーのかなって、思った。

世間中から失敗するのを期待されている。そんな逆境から出発する栗山新監督は、果たして就任一年目、リーグ優勝をなし遂げる。まさか優勝するとは、さすがに予想してなかったけど。その後のプロ野球業界の手のひら返しは、敢えて言うまでもない。

何の経験もないはずの栗山英樹が、なぜいきなり優勝できたのか。それは北海道だったから、ファイターズだったから。他のチームでは絶対になかったと言い切れる。

北海道に移転してから生まれた北海道のファイターズファンは、プロ野球の歴史過程や暗黙の掟など、ほとんど知らないし、観客の半数以上を占める女性ファンは、ほぼ完全に新規開拓の野球ファンであって、そもそもおっさんの思考になんか興味ないのだ(それを先入観がない、既成概念に囚われないともいう)。

たった三年で新庄剛志が築き上げた北海道のファイターズブランドは、すでに3回のリーグ優勝を重ね、チームもファンも円熟期にあった。大エースダルビッシュはアメリカへ行ってしまったけれど、だからこそ磐石のファイターズファンの支えとなる。

わたしたちの大好きな稲葉さん、マック、賢介、翔くん、陽くん、よしお、コンタコンタ、栄ちゃん、ゆうじさん、鶴ちゃん、吉川くん、光夫! 宮西王子、勝さん、俺たちの武田久…。ファイターズファンにならきっと通じる、この呼び名への、この気持ちを。

栗山監督が心細いのなら、チームを支えるのは、わたしたちなんだと(ていうか監督とか誰でも別に的なとこもあるのかもな)

毎日の生活に、大きな喜びと楽しみを与え続けてきてくれたファイターズを支える地盤がある。その上に、新しい星々を降らせる。大胆な方向性が、2012年のチームにはあった。

前置きが長くなりすぎちゃいましたけど。西川遥輝、杉谷拳士、中島卓也ー「ちびっこギャング」と呼ばれし、若い若い選手たちが、一軍に、札幌ドームで躍動し始めたのは、この年だった、という話がしたかった。

近藤健介、松本剛、石川慎吾(現巨人)上沢直之ー93年生まれ組もこの年のルーキーで、つまりは2021年現在の中心選手たちは、この時期に派生している。栗山野球しか知らないチームとも言えますが。

ちびっ子ギャングが活躍したときの喜び、楽しさ。はち切れる感じ。かっこいい遥輝、かわいいきゅんちゃん、拳士のベンチから外野スタンドまで届く声、中島くんの冴える守備に、未来を感じてわくわくした。新しい風にあたって、ベテランたちも躍動感がまし、意欲を持ち直しているように見えた。

あれから10年。栗山監督は、再び逆境に立つ。今度は、自ら立ててきた実績によって。大谷翔平擁する2016年のミラクルチームは、プロ野球を巡る固定観念や既成概念「こうであるべし」を打ち破り、はたまた真逆に純粋に「野球を愛する」リスペクトする道への、集大成だった。

完成してしまったチームを、ぶっ壊すと宣言して早4年。本当にぶっ壊れてしまったファイターズ。低迷し続け、ファンの気持ちも離れ、栗山批判、非難のコメントは、ヤフートップに、球団公式アカウントに溢れ出し、10年来の選手だけでは、もうどうにもならないところまで来て。

やっとというかようやく間に合ってくれるのか、新しい星が、瞬き出す。

野村佑希、万波中正、吉田輝星は、まだもうちょっと。今年入団したルーキーたち。そして、誰よりも。清宮幸太郎が、自らの星を自ら引き寄せられる時が来たら。

わたしたちもまた、もう一度、胸のときめきを、思い出せる。そして新しいファイターズファンもまた。きっと明日への。








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