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全てが消えてしまう前に。考え続ける、中田翔とファイターズ。残された「暴力」について。

ー8月20日、ファイターズの中田翔は消えました。跡形もなく消えてしまいましたー

上記にリンクした文春野球、青空百景さんのコラム。最後の一行。

全くその通り、本当にその通りと感じ入りながら、じーっと見つめていた。

ファイターズが中田翔の「暴力」に基づく出場停止を発表したのが8月11日。巨人に移籍したのが20日。自分が、この度の中田翔騒動に関して書いてみたのは8月24日。今日は、9月5日。初動からまだ1ヶ月も経ってない。でももうすでに、遠い昔のように去ってしまっている。

確かに、わたしたちの「4番」中田翔は、もうどこにもいない。だからと言って、わたしは別に翔くんが、ファイターズからいなくなって、辛く悲しんでいるわけでもない。誰にせよ、いつか選手はいなくなるものだし。

そしてまただからと言って、巨人にいる中田翔を無視してるわけでもない、毎日毎晩(今日の翔くんは大丈夫なのか?)と老婆心を全開にして注視している。ファイターズの試合を見ながら、CMタイムには日テレG+にチャンネルを変え様子を伺い、一球速報で出場成績をいちいち確かめている。

移籍直後、挨拶代わりのホームランを打ってから、全くパッとしない。まあまあルーキー時から中田翔を逐一見てきたファイターズファンのあなたであれば、およそ予想通りなのではないか。

移籍直後は興奮状態で集中力がある。数日たって落ち着いてきたら周りとの違和感に気がつきだす。メディアもネットもガンガン批判してきて自分に関するニュースは炎上している。ダルビッシュ先輩もブログに書いていたけれど「繊細な」中田翔は、気後れし、怯えているに違いなく、すぐに打てなくなった。手に取るようにわかるのである。

「活躍しなければ、殺される」くらいの感覚は、あるんじゃないだろうか。今の中田翔😅

それにしたって、未だにわたしはしつこく思うけれど、なんで中田翔は、暴力行為で処分され、出場停止から巨人に移籍となったのだろうか。

選手同士のトラブル、チーム内の暴力的な行為、プロ野球においては、表沙汰にしないだけで、どこかしらで起きていることのはずだ。テレビの珍プレー好プレーでお馴染みの「乱闘事件」は、昔の話だからというけれど「鉄拳制裁」だの「厳しい指導」だの暴力行為は、社会的歴史的に継続されてきた体質的な習慣(明治以降の戦争、特に太平洋戦争中に「敵性」認定されるのを避けるために野球界は「武士道」を模した「野球道」を提言する。体育教育全般には、軍隊方式の指導法が常態化し、戦後も継続される)であって、そう簡単に人は、習慣を変えることはできない。

今回の事件にしても中田翔が同僚を殴ったことを「時代が違うから許されない」ってプロ野球関係者は、みんな言うけどさ。時代が違わなくたって許されないんだよ。本来は。なのに「時代」のせいにする根底には、暴力を肯定してる心理がある。自分たちがそうやって育ってきたからでしょう。

だから、わたしには「暴力行為による無期限出場停止、謹慎処分」自体が、唐突に思えた。敢えて厳しい処分を出すことによって、球団が何をしたかったのか。何のためだったのか。

本当にわからないし、わからないまま、経過と結果をじーっと見つめて考えれば考えるほど。答えは、一つしかなくなる。

中田翔をチームから消し去るため。

それだけだ。

そうでなければ、暴力による無期限の謹慎処分を出しておきながら、たったの9日間で巨人に移籍させ「処分解除」にしてしまう必要性はわからない。真実に「暴力」を問題視し、中田翔にもチームにも野球界にも「絶対許さない」と意思表示し、きちんと具体的に検証し、これから決して繰り返されなために模索して、社会に伝えていく気があるのなら、こんな対応はありえないのだから。

そして、その一方で、おそらくは栗山監督は、中田翔を引き止める、なんとか野球に生き残らせることだけを考えていたと想像する。今回、色々言われているし、こちらから見ても栗山さんの言動も態度も到底褒められたものじゃないけれど、それにしたって、あまりにも今までの彼の行動様式とは違い過ぎている。

それでもどうにかして「翔の野球人生」だけは、守ってやろうとする栗山英樹がいた。矛盾と辻褄の合わなさ、説得力のなさの渦の中で。全てをおっかぶっても。自らが導いてきた「4番」の人生への責任を持つのだと。

どこまでも想像に過ぎないのだから、何を言ったって無意味ですが、どうであれ現実に中田翔は、巨人に移籍して、良かったのか、悪かったのか、答えは出ない。彼が、プロ野球選手を辞める時が来るまで。

そして、わたしたちには、中田翔が消え去ったファイターズと置き去りにされた「暴力」が、残った。

なくなっていないよ。


(文中敬称略) 多分、続く。




















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