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昭和、平成、令和を生きるー稀代の野球マンガ家水島新司引退ー本当にいろいろなことを思い出すー水島マンガにありがとうー

昭和、平成、令和を生きるー稀代の野球マンガ家水島新司引退ー本当にいろいろなことを思い出すー水島マンガにありがとうー

『釣りキチ三平』で一世風靡した矢口高雄さんが81歳で亡くなり、数日後に同年代の水島新司さんが引退を表明した。プロ野球の殿堂入り候補も辞退したとのことで何があったのかはわからないが「心境の変化があった」そうだ。(以下敬称略)

1972年、わたしは10歳。週刊少年チャンピオンで『ドカベン』は始まる。以降、2018 年『ドカベンスーパードリーム編』完結。わたしは56歳。山田太郎の野球生活は、46年間も

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『止めたバットでツーベース』村瀬秀信著(双葉社刊) 男たちは、野球を生きるーわたしたちは? 真面目な書評風ーその3

ー野球と応援ー

そろそろ終わらなければならない。

本書は、野球の本というより、野球の周りにいる人々についての本である。目立って焦点を当てられているのは、応援するということ。

18本の逸話の中に登場する、ヤクルト芸術家もヤクルト弁当屋もマリーンズ大応援団を指揮した男も横浜ベイスターズ狂プロレスラーも鈴木誠也のお父さんも、和歌山の小さな村、中津村から甲子園へ中津分校を送り出した人々も、誰も彼もが

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『止めたバットでツーベース』村瀬秀信著(双葉社刊) 男たちは、野球を生きるーわたしたちは? 真面目な書評風ーその2

ファイターズファンを泣かせる。ヤクルト芸術家

『止めたバットでツーベース』 本作に描かれた18本の逸話に登場する人々は、さすらいの野球文士近藤唯之がそうであるように、誰もが知っているプロ野球界の中心にいるような選手や人物ではない。

長島茂雄や王貞治、今なら大谷翔平が、キラキラとライトアップされたメーンストリートに立っているビルヂングだとしたら、その道の端の横道の小路に、そっと佇んでいる小さな家

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『止めたバットでツーベース』村瀬秀信著(双葉社刊) 男たちは、野球を生きるーわたしたちは? 真面目な書評風ーその1

「私小説」という言葉が消えてから、どのくらいたったのかわからない。

知ってますか?「私小説」。明治から昭和の文学の一名称で、「私小説こそ真実の文学」だ、と唱えられていたことすらある。

ものすごく大雑把にくくると、その小説を書く作家自身の「私」の行動や思考を真実(事実とは別のもの)に基づいて、延々と描写し続ける形式の小説だ。かろうじて今の人にも通じるかもしれない代表的な作家は、檀一雄『火宅の人』

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