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7年ぶりの本番

本番で、悔いが残る演奏をしてしまったのは、今回が初めてだった。

オーストラリア音楽審査協会のフルート試験に初挑戦した先週の日曜日のこと。発表会等を除いて、自分の演奏が「評価」されるような場は高校の吹奏楽コンクール以来の7年ぶり。

自分の番が近い時間に会場に着くと、既に試験を終えた子達が出てくる。社会人も入れば小学生もいる。大泣きしながら親になだめられているような、明らかに「後悔しまくり」の子も出てくる。どれだけ緊張してしまったんだろう。

あまりの泣きように伴奏者の人とこっそり笑ってしまったけど、1時間後の自分もそうかも、と思うと急に顔が強る。

いよいよ名前が呼ばれて試験官と2人きりになると、にわかに緊張した。顔が熱くて、鏡なんてなくても自分の顔が真っ赤になっているのが分かる。

最初のソロ曲。ポロポロ間違ったけど、緊張しているにしては上出来。よし、いいぞ。二曲目、モーツッァルト。一番の課題だと思っていたけど、試験官にべた褒めされる。ちょっと調子に乗った。

そして三曲目。前日まで課題だった出だしはなんとか吹けて、でも最後の最後で、今まで間違えた事のないところを盛大に間違った。

ごまかしようのない間違い。伴奏の人と目を合わせて、あちゃーやっちゃったね、という顔になる。

本番で悔いが残る演奏をしてしまったのは、昨日が初めてだった。というより、今まで本番で分かりやすく間違えた事なんてなかったのに。

悔しい!悔しいなぁ!と言いながら帰路についた。伴奏の人が、よくやったよ、と隣で微笑む。

しかしなんでろう、終わった後は逆に清々しかった。高校生の時とは違い、会社員をしながら練習時間を捻出し、レッスン代を捻出し、ここまでやりきった自分が誇らしかったかもしれない。そして、演奏と伴奏と聴音で、4人くらいの先生にこれ以上ないほど万全に支えてもらった。

そうね、やりきった!というのが良かったのかも。それに何より、本番はとっても楽しかった!

本番で悔いが残る演奏をしてしまったのは、昨日が初めてだった。でも、達成感を一番強く感じたのも確か。

これから、少しずつでいいから、上達していくといいな。私のフルート人生、まだまだ始まったばっかりだ。


*編集後記: モーツァルトが全体の印象を引っ張り上げてくれたのか、試験の結果はAでした。うれしい!数ヶ月支えてもらった方、本当にありがとうございます。

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