【勝手におすすめ本④】コンコーネ50番

私の独断と好みで選ぶ音楽書を、勝手に紹介するシリーズの第4回。

今回は「本」というより「楽譜」ですが、
コンコーネ50番練習曲です!

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【コンコーネ50番 中声用  畑中良輔編 ; 全音楽譜出版社】

イタリアの作曲家コンコーネ(1801-1861)が書いた声楽の練習曲集です。
日本で声楽を勉強する人は必ず通る道!といっても過言ではないくらい定番。
特に50番は学校で使うこともあり、声楽専門でなくても持ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
(他に25番や15番もあります)



この本の特徴、魅力

先ほども書いたように、声楽のための本ですが、その他さまざまな使い方ができ、音楽の基礎の勉強をするのに非常に使い勝手が良いところが大きな魅力だと思っています。
曲の丁度良い規模、さまざまな形式、基本的な機能和声、転調・借用あり、音楽的なメロディー等、あげたらキリがありませんが、勉強の項目のバランスが良く、50曲それぞれ性格が異なり、飽きることもありません。

また、編者である、畑中良輔先生の解説もとても面白く、興味深いです。歌う前にはぜひ読んでから取り組むと良いと思います。

では、単なる「声楽のための本」としての用途だけでなく、
どんな使い方があるか紹介していきましょう。

おすすめの使い方

「はじめに」の部分で畑中先生が仰っているのは、

(1)ソルフェージュとして使用する。
(2)純粋の発声法のために使用する。
(3)旋律の歌い方の音楽的な処理を学ぶために使用する。

という3つの方法です。
しかし、ここに私のおすすめの方法も付け加えて、もっとたくさんの活用法を提案したいと思います!

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①発声のための教本として


元々声楽の教本なので、当然の使い方です。

「はじめに」の解説では、「発声のために使うときには、声区の転換、声と息との適当なミックスなどを、各母音でたんねんに試み、仕上げなければならない」と書いてあります。

声区の転換、すなわち自分がどこから地声でどこから裏声で、どこから声が出にくくなるか、どの音域が出やすいかなどを知り、チェンジが滑らかに出来るように、との訓練に、とのことはとても興味深いです。

レッスンや試験では母音で歌われることが多いです。
解説では、日本人に不向きなaの母音は最初は避けた方が良い(前掲書;「はじめに」)となっていますが、皆さんはどんな母音で歌っていましたか?
ちなみに私はNoとかYoとか、oの母音でした(^^;

②ソルフェージュとして

ドレミで歌う練習に。ピアノ伴奏が付いているので、ピアノをよく聞きながら歌う練習になります。旋律しかない視唱の課題を歌うより、よっぽど音、和音を感じて歌うことが出来ます。

もちろん、歌だけでなく楽器でも。
(中声用だと最低音は1点ハより3度下のas、最高音は1点ハより16度上のAs)

新曲視唱、として初見で歌or楽器で旋律も。

➂伴奏の練習、初見視奏、移調の練習に


コンコーネは和音がつかみやすく、伴奏形のパターンも豊富で、実際によくあるものばかり、伴奏の練習には最適だと思います。
その他、初見視奏、移調の練習にも向いています。

伴奏をする人、ピアノ初見の練習がしたい人、移調奏ができるようになりたい人、教員志望の人、保育士志望の人などにおすすめです。

④弾き歌い

伴奏を弾きながら歌のパートも見て歌う、というのは教育現場ではよく求められる能力です。歌も伴奏も練習できたら、弾き歌いにもチャレンジしてみましょう。

⑤コードネームを付ける、コードネームで弾き歌い

先述の通り、伴奏部の和音がつかみやすい、わかりやすいので、コードを付けることが簡単にできます。
伴奏パートから和音を取り出し、骨組みを知るというのはとても大事なことです。(次に書くアナリーゼのことにも通じます)
これも慣れなので、コードネームをつけ、コード弾きしながら歌ってみましょう。

⑥アナリーゼの練習に

アナリーゼ(楽曲分析)を練習というとなんだか変な感じがありますが、
こういうのもいくつも数をこなさないと慣れていきません。

私は、このコンコーネをアナリーゼの宿題に出すことも多いのですが、使いやすい理由としては、

(1)1曲がどれも見開き1ページくらいで短すぎず長すぎない。部分分けしやすい。

どれも3,4部分くらいに分けられます。丁度良い量です。

(2)調性、和声ともわかりやすく、かつ分析のし甲斐がある。
コンコーネさんは、丁度後期古典~初期ロマン派くらいの作曲家
転調も近親調ばかりでないし、和声も借用和音が多く、いろんな色が出てきます。

(3)メロディー+伴奏の譜面から多くのことが読み取れる

和声分析の慣れないうちは、どれが和声構成音なのか、非和声音なのかの判断が難しいことがあります。
メロディーと伴奏と分かれた譜面は、伴奏でおおよそ和声をつかめ、それにのったメロディーを見てどれが非和声音なのかわかりやすいので、普通のピアノ曲を分析するよりは少し楽かと思います。

そして、歌の譜面はフレージングがわかりやすく、メロディーと対旋律、伴奏などの役割が明瞭です。さまざまな角度からの発見があります!


私はちょうど1年前、コロナの影響で暇になった隙に、コンコーネ50番を全曲アナリーゼしてみました。

(その時のブログ→https://ameblo.jp/musicarie/entry-12600133794.html?frm=theme ※今日の記事はこの時の自分のブログを参考にして書きました)

それでますますこの本が有能で、多用途で、限りない可能性を持ってることに感激したのです。

すごーーーくコスパ良しな訓練の本だと思います。

アナリーゼに関しては、私が今までnoteに書いた記事の知識があれば全く問題なくできる程度です。


ぜひ、さまざまな使い方にトライしてみてくださいね。
また、他に良い使い方を思いついたら教えてください!(^^♪


☆来週は都合により更新お休みします!次回は再来週です


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なお、ある程度の知識がある方に向けて書いていますので、これじゃついていけない、という方は、ぜひ個別レッスンに!その人にあったレベルで解説します。(対面、オンラインどちらもあり)
レッスンご希望の方はrie3_e_mail@nethome.ne.jpまで。

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