調判定できるようになりたい!【第12回・借用和音④】

借用和音の第4回目、今日は準固有和音について。
その他は次回に回し、まとめをしたらそこで一区切りできそうです。
このシリーズにやっと終わりが見えてきました(涙)
早く終わらせたいです。勉強もう一息頑張りましょう!


準固有和音とは

準固有和音は、長調の場合に同主短調から借用された和音のことです。
表記は、和音度数の左側に〇をつけます。
(例えば、◦Ⅳ  読み方は「準4度」)

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①のカデンツの中の2つの和音を②では準固有和音に変えてみました。
同主短調からの借用、なのでC durでc mollの音を借りてきた、ということになります。

これもよくある借用和音で、特に、◦Ⅵ、◦Ⅳ、◦Ⅱ(◦Ⅱ₇)、
また、ちょっと難しいですが、長調のⅤ9の根音省略も準固有和音になると減七の和音(dimininisch)になるので、これもよく登場します。

短調から借りたので、使われているところだけが翳ったような効果があります。

実曲で見てみましょう。

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(コンコーネ50番より、3番)

経過和音的に使われている例。長調なのにここだけ一瞬暗くなったような感じがします。


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(Schumann; Die Lotosblume)

属9の和音で準固有和音の場合。
先ほど、減七の和音のことを少し出しましたが、大事なことなので、これは別の機会に解説できたらと思います。

この場合は、ドッペルドミナントの、属9の、根音省略で(斜線で表します)、しかも準固有和音!という目が回りそうな和音ですが、
いい機会なので、前回までの知識と掛け合わせて、「調判定」という側面から向き合ってみたいと思います。


先ほどのマーキングした和音は、F durなのに、シが♮になり、ラに♭がついています。
でも、またすぐ臨時記号は取れて、またマーキングの箇所になったらまた付いて、を3回繰り返しています。
なので、この♮シと ♭ラ は固有音ではなく、一時的についた臨時記号のようです。

ここで調のことを考えれば、F durです、で終わるところですが、
ちょっと掘り下げて、この臨時記号のことを考えてみます。

皆さんもう薄々勘付いているかもしれませんが、
固有音でなく臨時記号がついた場合というのは、

非和声音として臨時記号が付いた
借用和音として臨時記号が付いた

のどちらかです!

だから、一生懸命非和声音と借用和音のことを勉強しているのですね!
話がつながってきました!

先ほどの♮シ、と ♭ラですが、
まず、F durで、主音より増4度上の♮シがあることにピンと来なくてはなりません。
そう、ドッペルドミナントを疑う!というものです。(前々回の記事で取り上げています)

ここの和音は、H-D-F-Asの減七の和音になっていますね。
おかしいな、属七じゃないけど…
以下、F durのドッペルドミナント族?です

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H-D-F-Asの減七の和音、
一番右にありました!!
ドッペルの9の和音までくるとこのようにたくさんの種類の和音ができます。
♭ラは、同主短調のf mollから借りてきた音だったのですね。


難しいですね^^;


参考までに、C durのドッペルドミナント族?の一覧も載せておきます↓


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…と見てきましたが、
このような理由があって、一時的に臨時記号が付き、そこに気がつくようになると、細かい部分の調、和声がわかる、というわけでした。

準固有和音の部分も、臨時記号を取って演奏しても特に進行には問題ありません。ぜひ、上のコンコーネとシューマンの臨時記号を取って演奏して、印象を比べてみてくださいね。

質問、感想、ご意見、こんなこと取り上げてほしい!などのリクエストありましたらお気軽にコメントください。
なお、ある程度の知識がある方に向けて書いていますので、これじゃついていけない、という方は、ぜひ個別レッスンに!その人にあったレベルで解説します。(対面、オンラインどちらもあり)
レッスンご希望の方はrie3_e_mail@nethome.ne.jpまで。

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