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Dei Bambini Non Si Sa Niente -おとなは知らない-

イタリアの若手女性作家、シモーナ•ヴィンチの処女作であるこの小説。

(2001年に出版されたので今はもう若手ではなくなってしまっているけれども)

大人の雑誌にあったポルノ写真を見よう見まねで真似した4人の子供達の秘密の遊びの先にある衝撃の結末。

冒頭でシモーナ本人が語っているように、この物語はフィクションであり、ノンフィクションでもおかしくないくらい私達の日常で起こりうる内容。

性の問題をタブーとしがちな日本と比べ、比較的オープンなイタリアらしい題材ということもしかり、子供達がティーン(10代)に突入すると急に大人っぽくなる、というかもろもろの芽生えが早いイタリアならではの問題とも言える。

大人しか知り得ない情報は、メディアや本、雑誌を通して子供の達の手の届くところへ転がっている。

無知であることは純粋無垢で良い事とも捉えられるが、無知であるが故に解釈を誤り、というか意味がわからないままやがて恐ろしい方向へと進んで行ってしまう。

現代の情報社会や大人の裏の世界、大人の見えないところで子供達が入って行く暗い闇世界。そこからどう彼らを守れるのかを保護者に問うているような感覚すら覚えた衝撃的な作品でした。

ひとたび大人になってしまうと忘れてしまう子供のときの感覚。

大人がやっているのに子供がやるといけないこと。

この作品を読んで、思い出すことがありました。

保育園時代の仲良し三人組で昼間のテレビで見たちょっとアダルトなシーンを3人で再現した事があって、そのときも私達は母親達がいるリビングから隠れて寝室で、子供ながらにそんな”大人な”遊びをしたこともあったなーと。

ただ、子供のころにはまだ恥ずかしいとか、そういう意識ってなかなか無いのに

大人になると急に芽生える恥じらいの感覚。

子供から大人へのタイミングって、もしかしたらイヴが禁断の果実を食べてしまったときのような、そんな感覚なのかなとふと読みながら思うのでした。

サクっと読める比較的短い小説なので気になる方はぜひご一読を。

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