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書店の条件

 夏休みに、荻窪のお気に入りの場所を再訪して来た。
 路地裏の一軒家で「読書するための居場所(カフェ)」。 2階はギャラリーになっていて、たくさんの本が本棚に収まっており、その本を購入することも出来る。また此処で本を読むことが出来て本当に嬉しい。美味しいお茶とマフィンと読書の時間を摂取して充電。

ゆるく引き篭もれる

 以前、読書仲間が紹介してくれて、頭の中の「買う本リスト」にあった本があったので購入した。旅先なので帰りの荷物が重くなるが仕方ない。
 買ったのは「『その他の外国文学』の翻訳者」

九人の翻訳者さん。略歴が掲載されているが、生年が記されていたりいなかったり。良い悪いあると思いますが、私は年齢を気にしちゃうタイプ。

 気になるところから読み出していて、まだ全部読んでいないのだけど、自分用のメモとしていくつか挙げておきたい。

☆斎藤真理子さんの前書き
 J.M.クッツェーの名が登場するが、これは読書会でゆっこちゃんが紹介してくれなければ、おそらく私は出会えなかった作家。

☆星泉さん<チベット語>
 星泉さんは、高橋源一郎さんのラジオで聞き覚えがあったお名前だったので最初に読んだ。母親がチベット語研究者。幼い星さんが、一緒に暮らしていたチベットの女性と遊びたくて、「こっちへ来て」をチベット語で何と言うか母親に聞く。これは瞠目してまうよ。

☆丹羽京子さん<ベンガル語>
 ベンガル人は、誰かの家になんとなく集まって、自作の作品の朗読をしたり批評を交わしたりする「アッダー」を、多く開くらしい。アッダーは文字通りには「非公式な集まり」「非公式なおしゃべり」を意味するという。覚えたい言葉。

☆福冨渉さん<タイ語>
 ゲンロンのお仕事によりお名前は存じ上げていた。

「アクチュアルな状況に対応するだけじゃなくて、たとえ百年経って世代が変わったあとでもちゃんと意味のあるものを残そう、という感覚があって、そういうところにすごく共感しているんです」

178ページ

 文学は長さを教えてくれる。今此処だけではないことが、今此処を立ち上げる。ちなみに、私とゲンロンが出会ったのは、クイズ王で編集者の徳久さんのおかげ。

☆阿部賢一さん<チェコ語>

日本語を話すから日本人とは限らないし、男性、女性の区別も曖昧になることがある。「日本人とか、日本語とかいうのはあくまでひとつのかたちに過ぎないな」と感じた。

210ページ

 「多様性」の受け止めとして、力強いなと思う。どの翻訳者の方も、子どもの頃の語りが気になる。


 私は、書店は戦争から最も隔たった場所だと思っていて、むしろそうじゃないなら其処は書店ではないと思っている。カフェもそう。
 今年の夏も熱い。戦争から隔たることを今此処で追い求めたいと思う。