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保育士の娘の自己肯定感が底辺だった話 1


私のスマートウォッチに見知らぬ番号が着信のバイブを鳴らす。
職場の保育園は、スマホは持ち込めるがさすがにマナーモードにしてあるため、普段からスマートウォッチを付けている。LINEや電話の着信があると連動してバイブで教えてくれる。とても便利だ。

「どうせ保険屋か車検の営業か何かな?」と無視した。少しの胸騒ぎを抱えつつ、保育室では今食事の介助、そして隙を見て自分もごはんをかきこんでいる真っ最中だ。
すぐ側にあるとはいえスマホで確認している暇などはない。
「休憩の時に見られるし。」

と思っていたら保育園の固定電話が鳴った。少しビクっとした。まさか私じゃないよね??

「〇〇さ~ん、娘さんの高校から電話だよー」

!!

学校から電話が来るのはこれしかない。きっと体調不良だろう、「迎えにこい」ってやつか。。マズイな。

しかも今日は定期テスト最終日だ。

私は、テストを最後まで受けられたのかが気になって仕方なかった。高3の1学期。大事な大事な定期テスト。

バクバクしながら電話に出る。

「担任の◎◎です、**さん(娘の名前)がテスト中に不正行為をしました。この場合、すぐに保護者に来ていただきます。何時に来れますか?」

❓❓‼️

ふ、せ、い、こ、う、い、思わずメモる。
か、カンニングってこと?
何かのまちがいだ。

「ほ、本人は認めたのですか?」震える声で尋ねた。

「はい、小さなメモが見つかりました。本人も認めました。」

膝から崩れ落ちそうになりながら、パニックになりながら、小さな保育園で、替わりの保育士を見つけないと帰れるわけもなく、一旦電話を切る。

リーダーに、もちろん娘が不正行為しました、と言えるはずもなく、娘が体調不良でお迎えが必要だ、と伝える。

私の狼狽振りを察し、リーダーが「大丈夫、換わりは見つかるから帰っていいよ」と言ってくれた。

残りのごはんも喉に通らないが頑張って食べた。

とにかく行かなくては。

すぐに学校に折り返し電話をし、職員皆に謝り、急いで退勤した。

うちの娘に限ってそんなはずはない。真面目を絵に書いたような娘だ。間違ったことが大嫌いだ。

でも、今は少々事情が違っている。

そう、4月から、抗うつ剤を服用している。

電車の中で色々なことがグルグル頭を駆け巡る。

ふらふらになりながら高校にたどり着いた。

続く

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