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あなただけ見つめてはいけない。9歳のわたしはアニメソングで学んだ

初めて買ったCDは大黒摩季の『あなただけ見つめてる』。

土曜夜のテレ朝で『SLAM DUNK』を見るわたしは当時9歳。毎週楽しみにしていたのは、アニメの内容もさることながらこの曲を聞きたいがためだったのかもしれない。

まずメロディ
思わず身体を動かしたくなるテンポのよさ。

そして何ともハスキーな、大黒さんの声
魅力的だった。かっこいい女性に憧れるのは今も昔も変わらない。

極め付けは歌詞
特にここ

♪薔薇色の鎖

痺れた
意味も知らず分からず、電流が身体中を駆け巡った。改めて聞いたら感電しかけた。

大黒さんは「鎖」を「くぅっんさりいぃ〜」(うまく表現できなくてすみません)みたいに歌っていて、この部分を聞き逃すまいとテレビの前で耳をダンボにしていていた。

時は1993年
娯楽といえばテレビ。
ドラマにバラエティ、アニメもCDも絶好調だった幻の時代。

物を買ってくれない親だった。
みんなすでに持っていたCDラジカセもないまま。大黒さんは音楽番組に出演しなかったから、大好きな歌が聞けるのは7日に一回。

もうカセットの時代じゃないよ!

すっかり薔薇色の鎖に繋がれてしまったわたしは、とうとう我慢できなくなって珍しくおねだりした。

CDはお小遣いで買った。
シングルだから1,000円也。

初めて全歌詞に目を通し、飽きることなく聞いて口ずさむ日々。

とにかく「あなただけ見つめている女」なのだ。彼のために生まれ変わり、全てを捨てた”High Tension”な女。

ポケベルは待つ女が持つもの?

女は一生男についていくの?

だけど、わたしはとっくに悟っていた。

自分がこの手の女でないことを。


「こんな女になるんじゃないよ」

たたみかけるように母が忠告する。

違うんだよ。

この歌は最後まで聞くことに意味がある。

行けっ!!夢見る 夢なし女!!

ほらね。

この件に関しては、母の望む娘と本音が一致して清々しかった。

その後はまるで答え合わせをするかのような人生を歩むことになる。

あなただけ見つめる女にわたしはなり得ないし、大黒さんが歌うように、夢見る夢なし女の末路は無残で悲しい。


今回改めて歌詞を見直したら、あなただけ見つめているこの女性、嫌がってたあの子と絶好するかわりにpartyには行きたいと許しを請うていた。

時代的にディスコの名残りみたいなノリなのかな。どうか許されて、素の自分をさらけ出せる人と幸せになってほしい。って、余計なお世話か。

にしても、これがアニメソングだったんですよね。



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