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六月大歌舞伎/「筋書」と人生の筋書

こんにちわrieです。

先日、歌舞伎座にて六月大歌舞伎を鑑賞してきました。

昨年ロンドンでミュージカルを鑑賞し、シアターの美しさやエンターテイメントの楽しさを体感。現地の人もカップルやファミリーで楽しんでいます。と同時に、男性が女性を、女性が男性を演じられる日本のエンターテイメントの凄みや奥深さにも気づいてしまったのです。

それから年に1回は歌舞伎を観ようと決意したのでした(今年は宝塚デビューもしたい)。それまでに歌舞伎を鑑賞したのは1回だけ。しかもイヤホンガイドを借りずに観ていただけ、なので内容はさっぱり分からず海老蔵の存在感だけ印象に残りました。それはそれで収穫なのだけれど…

初心者中の初心者。昨年からはイヤホンガイドにプラスして「筋書」を購入することにしました。これが大正解。筋書で解説と見どころ、あらすじを追いながら、俳優の顔を確認しながら鑑賞してようやく世界に入っていけます。こんなふうに数日経ってからでも筋書を見れば記録を残せます。

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寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)

松本幸四郎と尾上松也演じる三番叟の舞が見どころ。これは儀式舞踊で五穀豊穣を祈念する、いわゆる「予祝」。競い合うように飛び跳ねているかのようで息の合った舞が圧巻。素直にこちらのテンションも上がります。

女車引(おんなくるまびき)

古典の名作「車引」の登場人物の三兄弟をそれぞれの女房に置き替えたもの。三兄弟は敵味方に分かれ争うという原作の深刻な状況を除いて、この三人の嫁千代、春、八重は料理の支度をする様子も仲良く踊ってみせてくれます。八重はまだ娘気分が抜けず包丁で手を切り、姉さんたちに引っ込むようたしなめられる様子も面白可笑しく、終始明るく陽気な雰囲気で楽しめました。

梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)

敵役とされることが多い平家の武将、梶原平三景時の情と智を垣間見ることができる作品。中村吉右衛門が演じます。舞台に登場した瞬間から圧倒的な存在感。筋書では「理屈ではなく、梶原はもちろん出演者全員が役者ぶりでみせる芝居です。」と語っておられます。「刀剣」を神宝(かんだから)とし、礼儀をつくす様子が日本的。刀剣が小道具の中心となっていることもありスカッと爽快。ハッピーエンドでした。

恋飛脚大和往来 封印切(こいびきゃくやまとおうらい)

愛しい女のために罪を犯した人間の行動とその心理をち密に描写した上方歌舞伎の代表作。主人公の飛脚問屋亀屋の養子忠兵衛を、片岡仁左衛門が演じます。大阪の色町である新町が舞台。しゃべりの芸も見ものです。遊女梅川の身請けをめぐり、片岡愛之助扮する色敵の丹波屋八右衛門の挑発に応じ、公金の封を切るという大罪を犯してしまう。大罪=死。八右衛門が憎らしくて嫌なやつで、観客にここまで思わせる愛之助もすごい。

この芝居では「小判」が重要な小道具になるのですが、八右衛門が忠兵衛に見せつけるようにいやらしく小判をばらまくシーンでハッとしたんです。幼少期、私はコインゲームや見本と印刷されたお金のおもちゃで遊ぶこと、お金が大好きだった、ということを思い出したのです。久しぶりに心の奥底がパカっと開きました。親に「はしたない」と言われ、長年ブロックがかかかっていました。

お金は使う人、使い方によっていい・悪いを意味づけられのであり、お金自体に何の意味もありません。いいじゃないですか、お金大好きでも。お金は夢をかなえるためのツールです。素敵です。幼いころの私は潜在的にこのことに気付いていたのかもしれません。少し肯定的になれる。

筋書には小判のイラストが描かれていたり、コラムにネタとして取り上げられていたりと開けばこの日の出来事が思い出されます。やっぱり買ってよかった筋書。幼いころの自然なあの気持ち、お金が好きという筋書に従ってみようと思います。



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