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山口周氏×リディラバ代表安部敏樹の対談セミナーを開催しました!

 5/27、リディラバの地域・企業協働チームの主催で、ベストセラー「ニュータイプの時代」で知られる山口周 さんとリディラバ代表 安部敏樹の対談セミナーを、オンラインにて開催しました。

 山口さんは、Twitterなどでも「個人としてこれからの時代に求められる資質」を語ることは多くありましたが、今回は企業という組織が社会課題とどう向き合うかという、今までにあまり語られてこなかった内容。安部の持つ社会課題の観点とどのように重なり合い、果たしてどんな化学反応が起きるのか?非常に興味深い企画でした。

 当日は、企業人事・組織開発などを所管されている方を中心に、同じ関心を持たれた260名を超える参加者の皆さまがログインされ、大盛況。以下、内容の一部をご紹介すると…

経済合理性で「終わったゲーム」をプレイし続ける大企業

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物質的に満たされていなかった昭和の時代。それを満たすことで企業は拡大してきた。大企業は今でも同じ考えで経営していると言える。一方で、現在の日本では物質的満足度は90%に達している。つまりそのゲームは「終わっている」はず。それを終わってないこと、解決していないことにして、顧客に対して「持っているのが古い」とか「もっと良いものがある」とか、混乱、揺さぶぶりをかけてくる。これは圧倒的欺瞞と言える。
 なぜそれを続けるのか。それは企業が資本主義経済を前提に考えるから。普遍性の高い課題を扱わなければ、数が売れないから経済合理性に合わない。そうやって複雑で難易度高く、小さいけれど切実な社会課題が積み残されていく。これからの企業に必要なことは、今のゲームを終わらせ、積み残された社会課題に向き合うことと言える。

 対談の前半、2人からは痛烈な資本主義批判が繰り出されました。いつのまにか企業の存続が目的になって、本来解決すべき課題を取り違えてしまう状態…。確かに企業の中にいると、その論理に染まり、本質的な課題を見失うことがありそうです。

セレンディピティで社会課題を発見する

 仮想空間シフトが急速に進んでいる。一方で仮想空間は情報量が少なく、SNSなどのフィルターバブル問題のように、考えの近い人としか接触が生まれない傾向がある。物理空間に接触しなければ、世界はすごく平和に見える。でも例えば、自分が見えていないところで大きな所得格差が生まれているといったことが起こっている。実際に仮想空間を出て僻地に行くと塾もなく、子どもの教育問題の深刻さを肌で感じて理解することができる。このように実際そこに行って思いがけない出会い=セレンティビティ(有益なものとの偶然の出会い)がないと切実な社会課題は見つけられない。

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 仮想空間シフトが進む今だからこそ、物理空間であるリアルな現場の価値を再認識しなければ、本当に困っている人を発見できず置き去りにしてしまうことになるという指摘でした。仮想空間上で言葉の理解だけで済ますのではなく、現場で予想していなかった質の高い一次情報と出会い、そこから本質的な理解を深めていく…。三密を避ける動きから、どこの物理空間にでもアクセスできる状況ではなくなった今、現場を見極めることも重要と言えそうです。

アニマルスピリットを取り戻せ

 企業を経済合理性から解き放つには、一つベーシックインカムのような仕組みは必要になってくる。難易度が高い割に成功してもリターンが少ない、という課題はいくら重要でも経済合理性に基づくと手がつかない。本来そのような課題に向かう事業は、経済合理性でなく、ケインズが100年前に既に指摘していたように、アニマルスピリットに寄るべきだ。

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 アニマルスピリットを取り戻すには、感じることがまず大事。自分のセンサーの感度を上げて、課題の現場から感じること。そこから当事者意識が立ち上がり、チームに伝播していく。チームでアニマルスピリットを持つことでモーメンタムが起こり、パフォーマンスが上がっていく。一方で感度の高い人材は、共感力が高く、感情的であり、喜怒哀楽の激しい側面を持つ。こういう人材は組織から弾かれがちだが、難易度の高い課題を解くイノベーションは、この感度の高い人材から生まれる。その認識を持つことが大事だ。

 現代の社会課題と向かい合うのに必要なアニマルスピリット。ここでは情熱や情動に近い意味合いで使われていたように思います。「目の前に困った人がいたら助けたいと思うじゃないですか。この気持ちを起点にしなければいけない。」と強調される山口さんが印象的でした。

 この他にも議論は発散と収束を繰り返し(生命論?ゴキブリ?恐竜?色々なキーワードが登場しました)、時間を延長して山口さんの次の予定ギリギリまで続きました。この対談の全編は、リディラバが企画するWebコミュニティサロン「リディ部」にて動画公開を予定しています!また、Webメディア「リディラバジャーナル」でも記事化する予定です。

オンラインとリアルで社会課題に向き合う「フィールドアカデミー」

 最後に、地域・企業協働チームより、今年度からオンラインとリアルのハイブリッドとなった人材育成研修「フィールドアカデミー」の紹介がありました。

 運営サイドも2人の壮大な議論がどうフィールドアカデミーに繋がるかヒヤヒヤしていましたが笑、結果的に見事一貫した内容に着地。仮想空間シフトに順応し、リアルではアクセスしにくいけれど価値の高い社会課題の現場からオンラインでヒアリングを行い、感度を上げるために本当に必要な現場との接点をリアルで提供するという研修内容は、正にコロナの時代にフィットしている!と嬉しくなってしまいました。全編動画をご覧いただくと、なぜ私たちが社会課題の現場から学ぶ人材育成研修を企画しているのか、自然とお分りいただけると思います!

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