観察記録 愛しのあまのじゃく 23.11.15

まさかの続編来ました。
実はもう退職を告げたのでもういいかなと思ったんですが、せっかくなのでもう少し観察を続けてみようと思い気力を振り絞りました。
というかなかなか胸熱な展開になってちょっと涙出そうでした。

前回、お墓参りに行って仕事を辞める決意をして早速翌日、とりあえず有給の消化をしようと5日分申請しました。
その時は退職は告げず、上司も「あーそうですか、どうぞ」のような感じでした。
それはそれで終わったんですが、通常退職は2週間前までに言えばいい事になっていますが、退職願など出さなくて良いのかなと事務の方に連絡をしたら顔見知りの課長から返信が来ました。退職願は必要なさそうでしたがそのほかの手続きなど記載されており、また後日返信しようと思って翌日、改めて上司に退職の報告をしようとしたら様子が少し変でした。
話をしようとしても話しかけるなオーラが半端ない、絶対に目が合わないし至近距離にいても常に背中を向ける。
これはもしかして、顔見知りの課長から上司に直接連絡が行ったのではと思いました。月末にまとめて有休を消化したのでなんとなく察してくれてるのかなと思ったんですが、それにしては前日と比べても様子が変でした。

そして次の日、やはり上司とは目が合いません。
最近はずっとそうだったとはいえ、話すらろくにできません。
しかしさすがにそろそろ口頭でも伝えなければとチャンスをうかがっていました。
どんな反応をされるだろうか。嫌味の一つでも言われるだろうか、また冷淡な反応を返されるだろうか。いろんな覚悟をしながら、二人だけになって仕事のことで話しかけられた時、今がチャンスとばかりに退職話を切り出しました。私が、もう聞いておられるかもしれないですが、と言うと、案の定課長が伝えたようでした。
上司は嫌味を言うでも冷たくするでもなく、何とも言えない表情でこちらをじっと見て、退職の日の確認をしました。
しばし沈黙があって、私が「家庭の事情です」と言うと、ちょっと意外そうな顔をしました。やはり私に対してぞんざいな扱いをしていた自覚はあったようでした。
家庭の事情はすべてではありませんが噓ではありません。
上司は、急ですね、とポツリと漏らして、私もそうですね、でもわかってた事だからと、あえてすみませんとか言わずに事情を説明しました。
最後、「短い間でしたがありがとうございました、無理しないように頑張ってください」と言いました。
いつもならいい調子でこちらこそお世話になりました、いしいさんもお元気でとか言いそうな上司ですが、ぽつりぽつりと泣き言のような自嘲のような言葉をつぶやいていました。
さみしい、心細い、こんな事になるとは思わなかった、辞めないで、と、一言も発してない言葉が感情となって彼の全身から伝わってきました。
一言も本心を言っていないのに、これはこの人の本音なのだと分かり、ああ、かつて私が感じたこの人の優しさや愛情は本物だったのだと、涙が出そうになりました。
仕事や人間関係は器用なのに感情表現はとんでもなく不器用な、どうでもいい言葉はすらすら出るのに本心は絶対口にできないあまのじゃくなこの人が、めんどくさいけど心底いとおしいと思いました。

仕事では私がいない方がいいのはたしかです。
私を扱いかねて仕事に支障をきたしていたし、上司も虚勢を張ってかえって空回りしたりしていました。
しかし、私も感情としてはさみしいです。
上司がというより、慣れ親しんだ職場や仲良くしてくれた従業員の方と離れるのがさみしくて、もう何もしてあげられないのだと思うと悲しくて仕方ないのです。
でも、私は、僭越ながら、もう次のステージに行かなければいけないと思っています。潮時なのだと。
上司に関しては、もう顔も見たくないとかそういうことではなく、もちろん会えなくなるのは寂しいですが、ご縁があったらきっとまたどこかで会えるだろうと思っています。上司はたぶん今生の別れくらいに思っているとは思いますが。
お互い連絡先を知っているのだから全然そんなことはないのですが、自分からは絶対動かないのが上司です。
そして私も自分から気持ちを伝える勇気はありません。上司のこと言えない。
この先再びのご縁があることを祈ろうと思いますが、基本上司が幸せだったら私がいようといまいとどっちでもいいのです。上司に幸あれ。

という記録でした。
次回があればまたよろしくです。


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