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大和川酒造店-北方風土館 契約農家と作る米にこだわった酒造り

 喜多方の酒蔵ではもう一軒、大和川酒造店へ。こちらも見学ルートがしっかりと整備され、趣のある酒蔵の中を案内してもらった後は試飲コーナーへという流れになっている。駅から歩いてくると、木造の建物が見えてきて、壁沿いにぐるっと北側に回ると門があり中へ。ノンアポイントでも事務所にいる女性スタッフに声をかけると、15分刻みで中を案内してくれる。
 正直行くまでは詳しくは知らない蔵だったけれども、こちらの代表銘柄『弥右衛門』は渋谷の東急デパートに入っており、最近行くたびにやたらと目に止まるようになってしまった。今回の旅では買うことができなかったので、日本酒会・会津祭りなるものをやり、その時にでも紹介したい。

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 酒蔵の歴史は寛政2年(1790年)創業と、喜多方市の酒蔵の中では、2番目に古い。元々は奈良県の出だそうで、銘柄にもなっている、初代・弥右衛門がこの地にやってきて、酒造りを始めたのが蔵の始まりなのだとか。
 はじめに通される、江戸蔵は140年ほど前に建てられた建物ということで、赤松の長い通し張りに土壁が当時の趣を現代に伝えている。喜多方では明治時代に大火があり、一帯がほとんど燃えてしまったそうだが、酒蔵の土壁は燃えにくく、残ったとのこと。(それ以来、酒蔵に習って蔵を持つ家が増えたそうだ)

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 大和川酒造店のこだわりは、自社田で作る米と、仕込み水に使う飯豊(いいで)山系の伏流水だそうだ。自社で農業法人「大和川ファーム」を設立し、減農薬で山田錦、夢の香、福の香といった酒造好適米を栽培。蔵で使う酒米は全て自社生産でまかなっているという。繁忙期には蔵人全員で田んぼ作業もするとのことで、酒蔵が地域の農業を支える、僕が理想だと思う循環を生んでいる。極めつけは有機無農薬の山田錦100%で造られた『いのち』という最高の大吟醸だ。晩生の山田錦は一般的に冬が早い地域では育ちにくい。この会津の地で山田錦を無農薬で育てるのは大変なことだろうと思う。(おそらく1反あたり4〜5俵くらいしか採れないのでは?)希少米で醸しているぶん、四合瓶で1本8000円以上とやはり値段もいい。試飲コーナーでは、1杯400円で試飲させてもらえるので、立ち寄った方はぜひ。(僕は自転車移動に支障をきたすゆえ、試飲をお断りせざるをえなかった…残念)

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 とはいえ、試飲しないで次に行くのも味気ないので、酒酔い運転にならないよう、ほんの少しさせてもらった。
 全般的に大和川酒造店のお酒のイメージとしては、麹をしっかり作っている印象で辛口。しかしながら、水が柔らかいためか、アフターにかけてキレが良く、白身の魚など味の淡白なものと合わせやすいのではと感じられる。
対して、変わり種として出された『純米カスモチ原酒 弥右衛門』は、米と米麹を普通の醸造の倍以上使い、もち米を加えた四段仕込みで仕上げた秘伝の甘口酒だ。しかし、日本酒度−20度という数字ほど甘ったるいという印象は全然なく、黄色く貴醸酒に近いけれども少し違い、奥行きのあるふくらみを覚えるお酒だった。ロックがおすすめということで、確かに食中に飲むというよりは、食前かもしくは食後に金鍔でもかじりながら飲むと美味しいのでは?と思う。

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 とても文化的な香りのする大和川酒造。大正蔵にはワインセラーのようにお酒が並び、目を楽しませてくれる。街の中心にあるので喜多方の酒蔵巡りではぜひ立ち寄って起点にしてみてはいかがだろうか。

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大和川酒造店
〒966-0861  福島県喜多方市字寺町4761
TEL.0241-22-2233


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