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『花の枯らし方』 作品インタビュー

みなさま、初めまして。創作ユニット「りこりた」所属の海牛と申します。
「りこりた」のnoteへお越しいただき、誠にありがとうございます。

昨年から活動を開始しておりました当劇団の旗揚げ公演まで、いよいよ一か月弱となりました。
そんなりこりた1st『花の枯らし方』の上演に先立ち、作・演出の名塚かずやに作品について話を聞きました。
第一回目の投稿、ぜひご覧いただけますと幸いです。

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-今回の作品はどのようなお話ですか。
会社や学校や家庭などの既存のコミュニティになじめなかった若者たちが地域おこし協力隊として自分たちのための村を作る、というお話です。時間が経つにつれて、彼らは関係性を深めて仲良くなっていくのですが、とある事件が起こることによって自分たちの村を維持することに問題が発生してしまう、その一部始終について描いたお話になっています。
-そういった、コミュニティについての話を作ろうと思ったのは、どうしてですか。
僕が大学から離れて会社や劇団という新しいコミュニティに入っていくことになった過程で、どんなコミュニティにもそれを守るためのルールがあることに気づきました。また、コミュニティのためにどう振る舞うべきかということを、僕自身がすごく考えるようになっていることにも気づきました。そしてそれらのルールは、世間一般でいう法律とは別のところで成立しているものが多いとも感じて。その在り方のいびつさは物語になるなと思って書き始めました。
ただ、コミュニティの悪いところだけを書きたい訳ではなくて。例えば家族、恋人などは人が生きていく上で良いものとして機能する小さなコミュニティだと思うんですが、そこに生まれる小さな幸せを大切にする姿も描きたいという気持ちがありました。
-確かに、今作ではコミュニティのプラスとマイナスの両面が描かれていますよね。そこが見どころでしょうか。
そうですね。共同体に救われているシーンも、共同体に縛られて本来守るべきものを守れなくなっている様子も、両方を描ければと思っています。それから、事件とか極端なところに目が行きがちですが、みんなが仲良くなっていく幸せな時間も丁寧に描きたいなと。
役者さんたちも、どう人間関係をつくっていくかっていうことを意識して稽古を重ねてくれています。登場人物同士のやり取りやそれぞれの関係性にも注目していただきたいです。
-人と人との関わりという部分を丁寧に作っているとのことですが、それはつまり、リアルであることを意識されているということでしょうか。
そうですね。人の感情に嘘をつきたくないというか、登場人物全員に何かしら、共感できる要素を加えるようにしていて。もちろん、見てくださる方全員がすべての登場人物に共感できるわけではないと思いますが、「こういう人いるな」と思ってもらえるように心がけて作品を作っています。
-今作は客演さんが多いと思いますが、そのことが作品に影響した点などはありますか。
僕が稽古場で初めて会った人が多かったので、脚本段階での自分の想像を絶対超えてくれるというか。予想外のところから役作りをしてきてくれるので稽古場が面白いです。作品が豊かになっているなという印象があります。
また、客演さんたちが共演者との関係性づくりについてすごく意識してくれているので、僕とその役者さん一対一のクリエーションではなく、色んな視点の混ざったクリエーションができていることがありがたいです。

-今回の旗揚げ公演は劇団のカラーの一端を示すものになると思いますが、名塚さん自身のカラーは何でしょうか。もしくは、好きな作風があれば教えてください。
社会の問題を作中で扱う作品が好きで、今後も作っていきたいと考えています。あと、いつかハートフルな作品に挑戦したいと思っていて、それも作風のひとつにしたいと思っています。
逆に、海牛さんの思う僕の作品のカラーってどんな感じですか。
-生きづらさを抱えている人とか、今に満足していない人に焦点を当てている印象があります。
確かに、生きづらさみたいなものは丁寧に扱いたいと思っています。共感があるのはそこなのかなと。こういう幸せなことがあった、というよりも、こういう辛いことがあったという方が、実際に辛い人には響くのではないかなと思っています。難しいことを考えずに観られる演劇も良いし、自分も救われることは多いですが。ただ、僕はそういう本は書けないので、自分の特性的にも、自分の生活を顧みる鏡のような演劇を作っていくべきなのかなと思っています。僕が思う僕のカラーはそんな感じです。
-名塚さんの作品には、経験したことはあるけど言葉にしたことがなかった感情が、うまく言語化されているシーンがところどころあるなと私は思います。そういう部分に共感するし、言語化されているのが気持ちよく感じます。こう言えばよかったのかって思うと、ちょっと楽になったりして、それも名塚さんのカラーなのかなと感じました。

-ご予約もいただいており、公演が迫ってきたことを実感しますね。ここで、公演メンバーに向けて一言ください。
役者さんたちへは、僕が頭の中で考えた人たちを人間にしてくれて、ありがとうと伝えたいです。それぞれの関係性の構築も、誠実に、手を抜かずにやってくれていることに感謝しています。稽古場のやりとりを見ているだけで僕は楽しいし、それをお客さんに見せられることを考えるとわくわくします。本番まで頑張りましょう、お力を貸してください。
スタッフさんたちへは、僕がわからないことばかりなので沢山ご迷惑をおかけしてしまっていて。それなのに見捨てず、すごく丁寧に教えてくださって、ありがとうございます。本当に支えられていて、皆さんのおかげで進められているなと思っているので、いい場所になるように僕も頑張りたいです。
-では最後に、お客様に向けてメッセージをお願いします。
予約フォームの注意書きにもあるように重めの作品なので、観劇を躊躇われる方もいらっしゃるかと思っています。それでも、よいものをお見せできるように頑張りますので、関心をもっていただけましたら、ぜひお越しください。

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最後までご覧いただき、ありがとうございました。
次回は引き続き名塚に、劇団について話を聞きます。こちらもぜひご覧ください。



名塚かずや
創作ユニット「りこりた」の主宰。劇団の旗揚げ公演であるりこりた1st『花の枯らし方』では作・演出を務める。好きな花は赤い花。

海牛
創作ユニット「りこりた」所属。好きな花は多い。

りこりた 1st 『花の枯らし方』
ご予約はこちら。
https://t.co/mKGBzUbNv0

【日時】
2023年2月25日(土)・26日(日)
2月25日(土) 14:00/18:00
2月26日(日) 11:00/15:00
※開場は開演の30分前。
※上演時間は100分程度を予定しております。



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