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【ミュージカル?】一年前の今頃は『ナンタ』を楽しみにしてたっけ。。。

昨年の今頃、ウキウキしながら取ったチケットがあります。
韓国ミュージカルの『ナンタ』です。

明洞ナンタ(2020.12現在休業中)


突然降って湧いた2019年の年末のソウル旅計画。

韓流ドラマにもKpopにも興味のないワタクシですが、もちろん韓国ミュージカルが気にならないわけはない。
旅の目的は別にあったけど、短い日程でも、観劇は外せません。

韓国ミュージカルが、いつ頃から気になり出したのか記憶が定かではありませんが、オペラの世界では割と昔から韓国人の歌手の方が活躍されてるのは知っていました。というか、世界レベルで見ると、日本人よりも韓国人歌手の方が活躍してる気がする。
韓国人歌手のみなさまの特徴をざっくり言うと、ツヤツヤのテナーにしろ、深いバリトンボイスにしろ、日本人と同じアジアの血とは思えぬ広がりと声量がある、という事でしょうか。

その秘密はと言うと。。。

韓国に旅行に行くにあたり、簡単な韓国語会話を勉強しました。
韓国語って、なんと母音が日本語より多い。

え?母音って、「あいうえお」の他にもあるの?

と不思議に思いつつ、youtube先生の真似して、あーとか、おーとかやってみたんです。
普段日本語使ってると、発音する時に使わない軟口蓋のあたりをめちゃ使う。

根を詰めて発音練習してたら、喉と顎が疲れる。
特に上顎が。

これだ!

韓国人の滑舌や発声を支える日本人にない筋肉!
日本人は、上顎の使い方で苦労する歌手の人が多いと思います。ボイトレレッスンなんかでも、上顎の使い方を習う事に多くの時間が割かれている。
かのフレディ•マーキュリーは、出っ歯だったために、口腔内が広く、あの迫力あるボーカリストになれた、という逸話が映画『ボヘミアン ラプソディ』でも描かれていますが、韓国人は軟口蓋を動かす事で、同じ効果を得ているのかなぁ、と推測しています。

ハングル語話者にとっては、もともと日常の会話の中で、幼い頃から使ってるから、習わなくても当たり前にできる事なんでしょうね。


閑話休題。

近年、劇団四季や、レミゼやなんかでも、韓国人のキャストさんをよく見かけるようになりました。
日本に残って活躍される方もいれば、国に帰って活躍されてる方もいると聞く。

日本よりも先に韓国で上演許可が降りるブロードウェイミュージカルも少なくない。

なんでも競争社会の韓国。
エンタメだって、きっと熾烈な競争から生き残った精鋭達がやってるに違いない!

いやでも、期待が高まります。韓国ミュージカル事情についてはこのあたりを参考までに(少し情報が古いですが)

韓国ミュージカルのすすめ(KONEST)

かかってる演目の数は、東京より少なめの印象ですが、名作から新作まで、幅広くやってるのがわかります。マーケットがちゃんとある、という証拠です。

韓国オリジナルの、日本で言うと時代劇のようなミュージカルもあったり、韓流ドラマの舞台版かな?と思しき演目も。マニアにはたまらないのかな。

もはや、アジアを代表するミュージカル拠点と言っても差し支えないソウル!それにしても、色々ありすぎて、なにを選ぶべきか、悩みます。

日本で観たことある作品を韓国語で観るか

日本未上陸のワールドツアーの演目を英語で観るか

韓国オリジナルミュージカルを観るか

時間的に観られるのは一演目。

散々悩んで、『ナンタ』にしました。

観光客にも有名な韓国オリジナル作品で、韓国語が分からなくても楽しめるノンバーバルミュージカル。専用劇場でのロングランだからチケットも取りやすい。
劇場が、繁華街のど真ん中で便利。

ちなみに、韓国人の友人にもオススメ聞いて回ったら、全員の口から出たのが『ナンタ』だったのも決め手になりました。

チケットは、公式の日本語サイトで、日本から予約して、劇場窓口での受け取り。便利ねぇ。
ちなみに、旅行代理店とかで取ると、席選べないし、意味不明なぼったくりプライスなので、自分で公式から取るのがオススメです。


で、チケット取ろうとして、謎だったのですが、最前列と後方が埋まってる。

前から3列目から7列目くらいまでが、比較的空いてます。
なんで?と思いつつ、空いてる三列目のドセンにしました。

そこが売れ残ってた理由は、後ほど。

『ナンタ』は、持てるボキャブラリーを駆使して説明すると、「ブルーマンとハワイの田中オブ東京を足して2で割ったようなショー」をベースにしたドタバタコメディです。

ブルーマンも、田中オブ東京も知らないよ、と言う方には、なんとも説明のしようがないのですが、設定は、結婚披露宴に料理を提供するレストランの厨房。
5人のスタッフで切り盛りしているのですが、すっとこどっこいの集まりなので、次々とトラブルに見舞われます。
テイスト的には、ミスタービーンの笑いに近いかも。

本物の鍋やお玉なんかを使って、打楽器のように演奏したり、本物の野菜をリズムに乗って豪快に刻むパフォーマンスがあったり、お皿を投げてキャッチしたり、と、様々な大道芸のようなパフォーマンスを入れながら、披露宴の料理を作っていきます。

ベースに流れるのは、韓国の伝統的なサムルノリのリズム。不思議と心地よく、激しい場面にも、愉快な場面にも、いい感じにフィットします。
終わった後もしばらく耳に残る。

演出はとにかくジェットコースターみたい。ストーリー展開も、繰り出される曲芸の数々も、ものすごい勢いです。
瞬きしてる間に見逃しそう。

セリフは少しありますが、韓国語が1ミリもわからなくても、なんて言ってるか、雰囲気でわかっちゃう。
必要に応じて字幕が出る場面もありますが、日本語と英語とでるので、なんの問題もなし。

とにかく、腹筋が休まる暇がないくらい大爆笑の連続、爆笑してない時は、ピリッとした緊張感の中で際どい芸が成功するかを固唾を飲んで見守ってる瞬間だけです。

緩急のバランスも絶妙で、とにかくステージに目も耳も意識も釘付けでした。

途中、観客が参加するシーンもあります。
その観客を選ぶのが、後方の席の中から。
だから、後方から埋まるんですね。

上手い商売だ、さすが韓国🤣

じゃあ、前から3列目はどうかというと、野菜の切れっ端やら水やらは飛んでこないけど、俳優さんの息遣いや汗はめちゃ見える。ライブ感半端ない席でした。

どの俳優さんも、サポーターしたり湿布したり。
途中履けて、次にステージに現れた時には、テーピング増えてる俳優さんもいました。
それだけ肉体を駆使してるって事です。
よくよく見ると、結構、みなさん満身創痍。

でも、このカンパニー、全部で5-6組で1日3公演を回していますが、シャッフルせずに座組みが決まっているから、1人抜けたら大事なんだと思います。
息が合ってないとできないパフォーマンスが多いので、なにかあった時、代役さんで即幕が開けられるかというと、なかなか難しいと思う。

シビアな世界です。

でも、そういうギリギリなところで、全力でやってるパフォーマンスは、やっぱり観てて感動します。年の瀬、2019年の締めくくりに、本当に素敵なものを見せてもらいました。

繰り返し聞いてもなぜか飽きないサムルノリのリズム。
人の鼓動に似てる気がしたのは気のせいかな。

あの空気感は、やはり韓国だから出せるんだろうと思います。
海外での公演もやっているようですが、いやいやあれは行って見るべきかと。

今、韓国の劇場は未だ再開の目処がたたないまま。
相応のトレーニングと、お稽古があっての『ナンタ!』の舞台だと思うので、再開するならするで、またイバラの道だとは思いますが、韓国の伝統として、なんとか残して欲しいなぁと思います。

あれは韓国じゃないとできない演目だと思うから。

また、観に行ける日が来る事を願って。


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