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【ドラマ】『陽はまた昇る』は地味だけど続編が見たくなる名作ドラマ(前編)

『陽はまた昇る』ってタイトルの作品、どっかで聞いたことあるような。。。??

春馬君の出演作をチェックしていた時、なんかひっかかったのがこの作品。
で、調べてみると。。。

『陽はまた昇る』(Wikipedia)

同名の作品があるわあるわ。
映像作品もですが、楽曲もすごい数。

日本人、どんだけこのフレーズが好きなの?

ちなみに、「陽」を「日」に変えて『日はまた昇る』にすると、ヘミングウェイの小説のタイトルです。

これだ!

これこれ!

私がどっかで聞いたのはこれでした。

春馬君、ヘミングウェイが原作のドラマに出たの?

と、私とこのドラマの出会いは、とんだ勘違いからのスタートでした。



当たり前ですが、『陽はまた昇る』は、1文字違いだけど、ヘミングウェイの作品とは無関係。『最後の晩餐 〜刑事・遠野一行と七人の容疑者〜』というスペシャルドラマの続編という位置付けだそうです。

『最後の晩餐‥』は、いわゆる刑事モノ、『陽はまた昇る』は警察学校を舞台にした学園ものです。

この2作品は、同じ年に放送されており、『最後の晩餐‥』には、春馬君と池松 壮亮さんが、ノークレジットで、チラッとカメオ出演しています。

また、『最後の晩餐‥』の中の未解決事件が、『陽はまた昇る』の中でも、サイドストーリーとして扱われているので、はじめから2作品セットで制作された作品のようです。

連ドラの続編で単発ドラマ、というのはよくある手法ですが、その逆というのは、なかなかユニーク。『最後の晩餐』については、また別途レビューしたいと思います。

で、このドラマは、私としては、何がなんでも、見なくてはならないやつです。
春馬君の出演作品ですが、主演は佐藤浩市さん。佐藤浩市さんは、私が知っている数少ない、そしてわりと好んで観る日本の俳優さんです。

ここ15年くらいの佐藤浩市さん、ほんとに渋くて素敵な俳優さんになられて、眩しい限り。
若い時も、イケメンで、尖ってて、やんちゃっぽくて、よかったけど、中年と呼ばれる年齢に入ってますます素敵に。。。

ん?

イケメンで、尖ってて、やんちゃ。。って春馬君の若い頃にもよく使われた形容詞のような😅

というか、このドラマで春馬君が演じている宮田もそんな役のような。

そうなんです。
私の中で、佐藤浩市さんの若い頃と、春馬君はどこかシンパシーが感じられる。
見た目が似てるとかではなく、与えられるポジションというか、周囲から求められる役回りというか、それに対してどう応えるかという俳優としてのスタンスというか。
なんとなくイメージが被るのです。

と思ったら、このお二人は、映画『こんな夜更けにバナナかよ』では、分かり合えない親子役をやっていました。

この配役、すごくわかる気がする。
似たモノ親子ゆえに、反発し合う親子。
社会的な立場と自分の心情に抗えない性格なのは、父も子も同じ。言ってみれば磁石のS極とS極みたいな親子関係。
ほんのワンシーンでしたが、田中くんの人物像を描くのにとても印象的なシーンでした。上手いんだよなぁ、2人とも。

この『陽はまた昇る』では、先生と生徒役ですが、佐藤浩市さん演じる先生、遠野教官は、実は春馬君演じる宮田の中に、どこか自分自身を見ているような感じがします。

自分の正義感に馬鹿正直に生きる宮田と接するうちに、自分が大人になる過程で、どこかに置いてきてしまった、いや、心のどこかに仕舞い込んで封印してしまったコアな部分を思い出す、というのが、このドラマの骨子。
学んでいるのは、生徒たちじゃなくて、実は遠野なのです。

そのストーリーのベースになっているのは、遠野も宮田も、警察官としてのスタイルは違っても、人としての根本は似た者同士という暗黙の設定なんじゃないかと。

遠野に、「若い頃、宮田みたいだったよね」と聞いたら、全力で否定されそうですけれど。

見終わってみると、実はこの物語の中で、1番人間的に未熟だったのは、遠野自身なんじゃないかとすら思えてきます。
親子ほども歳の離れた宮田も湯原も、実は、遠野より大人な側面も沢山持っている。

プロフェッショナルとしての厳しさは教える事ができても、人としてどうあるべきかは、宮田の方がストレートに表に出すし、弱さと共存しながら、それでも生きる生き様は、湯原がお手本になるのです。

それをつきつけられるから、遠野は彼らに心を開けずに、最後まで強面を通す。
それが、教官としてのプライドだから。

カッコつけてるけど、実のところ、なんともカッコの悪い人間遠野。
でもどこか人間らしくて憎めない、絶妙なバランス感覚で演じる佐藤浩市さん、ほんとにいい役者さんだなぁ。。。


というわけで、長くなりそうなので、続きは後編で。

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