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【ドラマ】『陽はまた昇る』は地味だけど続編が見たくなる名作ドラマ(後編)

ドラマ『陽はまた昇る』のレビュー、後編です。

前編では、佐藤浩市さん演じる遠野「論」的な事をメインに書きました。
後編は、その他のキャラクターについて、つらつらと書いてみたいと思います。

まずは、女優陣から。

このドラマは、警察学校の男子クラスを舞台にしたドラマなので、基本は男くさーいドラマなのですが、女優陣の癖が強い。
もはや強すぎて、違和感のレベル。

まず、遠野の上司。
真矢みきさん演じる箕島。
なぜか、職場では(なんなら飲み屋でも)男言葉なんです。
不自然すぎる。
そりゃ、もと宝塚の男役とは言え。。。
もうすこし、真矢さんの力を信じて、役作りしたらよかったのに。。。

男言葉なんか喋らせなくても、男性社会でのし上がって行くパワフルな女性をカッコよく演じる事のできる女優さんだと思う。なのに下手に男言葉なんか喋らせるから、薄っぺらな人間に見えてします。ものすごく残念です。

校医の立花に、YOUさん。
え?いつから女優に?
どうがんばっても、棒読みだし学芸会。
もうすこし普通に演じられる方をお願いしたいです。
警察学校のサンドバッグ的な存在で、面白い役なのに、もったいない。
そもそも、YOUさんって、滑舌とか声が役を演じるにはかなり個性的な方です。
何をやってもYOUさんにしか見えない。
なぜ、ここ、YOUさんだったのか。。。
(YOUさん、バラエティとかのコメンテーターで見る分には、嫌いじゃないんですが。。。)

訳ありの飲み屋のママに石野真子さん。
ここは、大丈夫。むしろ癖がなさすぎる。飲み屋のママなのに癖がない、のが癖?

そして、昔の恋人と駆け落ちする遠野の訳あり妻に、斉藤由貴さん。

斉藤さんは、ハマってましたね。
2人の男性のあいだで揺れ動く、というか2人の男性を翻弄する女性なのに、悪女じゃない。
純粋でピュアで、多くを望んだつもりもないのに、どんどんドツボにハマる困惑する女性を演じさせたら、上手いんですよね。
斉藤さんが、悪女じゃないから、遠野の届かない愛情がまた切ない。

毎回、登場シーンは決して多くないのに、すごく存在感があって、遠野と妻と未解決事件の顛末は、ある意味で、メインストーリーだったように思います。

訓練生たちの成長を描くシーンに多くの時間と労力をかけているのに、芸達者のベテラン俳優のシーンで、一気に持っていかれてる。だけど、そのおかげで、このドラマが、それまでに数多作られたのと同じような単なる学園もので終わらず、人間ドラマとして魅力的だったのだと思います。
よく考えられてるなぁ、と。

で、このドラマの学園ドラマの部分はどうかというと、もう春馬君と池松君の独壇場でした。
とにかく、この2人がずば抜けて上手い。
役柄が美味しいから上手く見えるのではなく、上手いから役柄がどんどん美味しくなって行ってる、という感じがします。

2人とも子役出身。池松君は福岡ヤングシンバの出身ですが、ヤングシンバ界隈(?)では、レジェンドだと聞きました。ご家族もミュージカル俳優のいわばサラブレッドです。

池松くんが舞台出身と聞いて、すごく納得したのは、自分がセリフのない時でも、しっかりと役でいる、という事。
たとえば、教室で教官の話を聞いてる時などでも、姿勢、目線、動き、しぐさ、座り方、立ち方など、つねに湯原でいるので、逆に目がいってしまう。
これ、なかなかちゃんとできる若手の俳優さんいないんです。
舞台出身の俳優さんは、常にお客さんに見られている中で芝居をするのが当たり前。その辺の教えが特に厳しい四季子役出身の池松君が、ワンランク上だったのは、すごく納得でした。

さらに続編が作られて、生徒たちの10年後が描かれる、とかになった場合、どの子が見てみたい?と言ったら、私は宮田よりも湯原を挙げると思います。

どう自分の弱さと向き合って、どう折り合いをつけて、今どうなっているのか見てみたい。
それくらい、湯原は魅力的な人物でした。

一方春馬君は、テレビ子役出身。
細かい表情の作り方などはやはり丁寧で、見応えがあります。今更、毎度の事ですが。

春馬君の演じる宮田は、最初のチャラい雰囲気から、いかにプライドを持った警察官になっていくかが見どころ。チャラいと言っても、彼女の一大事には規則を破ってでも駆けつけるあたりは、チャラ男キャラじゃないし、そもそもチャラい設定いらなくない?と思ってしまった。

春馬君って、最初はチャラいけど成長する若者は、他の作品でも演じているけど、根が真面目だから、どっかチャラさがぎこちないない。

この時は、まだ若かったし、チャラ男ではなかった。

でも、なんというか、今時のやる気のない若者感は出てた感じはします。
なぜ警察官を目指したか、という問いに、一貫して「ひとの役に立ちたかった」と答える宮田。
そのセリフが回を追うごとに、だんだんリアリティを増して行く。
警察官としての自覚が、単なる面接用の模範解答を彼の信念に変えて行く。そのプロセスはちゃんと意図しながら演じていて、もうさすがとしか言いようがない。
若干ハタチの役者さんなのに。。。

やっぱり、春馬君はどこでも輝いてるなぁ(単なるファン目線)

それはそうと、最終回、警視庁管内なのに、ずいぶんと田舎に配属されてましたね(笑
かぼちゃ持って追っかけるシーン。
微妙に茨城訛りになってたのは気のせい?
なんどもきいちゃったわ。

さて、このドラマで、私が1番好きなシーンは?と聞かれたら、その答えは「タイトルロール」です。
遠野を真ん中に囲んで、生徒たちと一緒に楽しそうにみんなが笑っている映像が、毎回ストーリーの初めに数秒間流れます。

これがいいっ!
もう、このドラマのややこしいところ、ドロドロしたところ、全部吹き飛ばすパワフルなシーン。
すこーしスローモーションで、土砂降りから雨が上がって、陽がさすのですが、この数秒で、このドラマの9回分全てを表している象徴的な映像。

劇中ではなかなか笑顔を見られない湯原も、このタイトルロールの映像では、楽しそうに笑っているのが印象的です。

オンデマンドで観てるんだから、タイトルロールなんて、毎回同じだし、早送りすりゃいいモノを、毎回のきっちり堪能しました。なんなら巻き戻して何回か観たり(笑

毎回これを見ると、なんだか元気になります。
土砂降りだって、力強く笑い飛ばしていたら、晴れになるさ、と。

改めて、このタイトルロールを考えた人のセンスが神!!

このドラマ、ほんと続編が見たい。
あの、若者たちが、どんな風に成長したのか、親戚の甥っ子気分で気になります。
その時、宮田はどうなるのか、わからないけど。。。

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