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スタンフォード大学のオンラインコースを受講した高校生から全国の先生へ:非同期型アクティブラーニングのすヽめ

突然ですが、皆さま「アクティブラーニング」って聞いたことありますか?

先生同士の会話に耳を潜めれば「アクティブラーニングが...」って聞こえたり友達が授業中に手を突然上げたと思ったら「先生!アクティブラーニングにしてください!!」って突然言い始めたり近所の八百屋で井戸端会議しているママたちの声をよーーく聞いたら「やっぱりアクティブラーニングよねぇ〜」って聞こえてきたり(流石に冗談です。でも本当にありそう)

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おそらく何かしらの形で教育に携わっている方なら耳にタコができるほど聞いた単語だと思いますし、教育の当事者の高校生にとっても高頻度で聞く単語のうちの一つです。

ただ皆様。「非同期型アクティブラーニング」って聞いたことありますか?

日本でもまだ注目されていないこの分野。私は2月から7月の間スタンフォード大学と柳井財団が提供するStanford e-Japanに参加して「非同期型アクティブラーニング」を含む学びの形に触れてきました。実際に「非同期型アクティブラーニング」は何か?どのように使われているのか?そして日本でどのように活かせるのか?という点にフォーカスして書いていきたいと思います!

なお、このNoteはStanford e-Japanについて詳しく書いているわけではなく、そこでの学びの形を中心に書いています。何を学んだかなどの経験は別のnoteに書くので少々お待ちください!

僕は誰なのか(自己紹介!)

初めまして!今まであった方もNote上では初めまして!

現在高校2年生、都内のIB教育が受けれる武蔵野大学付属千代田高等学院で勉強をしているリックと申します!趣味はベースとギター!好きな音楽はメタル!好きな学問は社会心理学!好きな心理学者はHenri Tajfel!「高校生がチャレンジしやすい社会を創る」というコンセプトのCUEというプロジェクトの代表もやっています!

もともと自分が住んでいた国でもあるアメリカを別の視点から見てみたくて、柳井財団とスタンフォード大学が提供するStanford e-Japanというコースを3月ぐらいから受講していました!Stanford e-Japanについてはこちらに詳しくまとまっています!

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まずそもそも「アクティブラーニング」とは

一応定義っぽい定義を置いておくと

「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」(文部科学省 用語集より)

とのことです。

所謂40人の生徒が黒板と先生と睨めっこしながら板書をそのまま写していく授業ではなく、生徒同士が能動的(アクティブ)に作り上げていく授業ってことですね。1954年に理論的に発表された「ラーニングピラミッド」というモデルでただ聴くだけだと5%しか記憶に残らないという主張が上がったり多様性な価値観を認め合うためにと文部科学省の学習指導要領に載り始めたことから教育界でホットなトピックである「アクティブラーニング」。

ただ、私が知る限りほとんどの「アクティブラーニング」と称されている授業は同じ時間にオフライン/オンラインで集まってグループでディスカッションしたり、ディベートをしてみたり、プレゼンテーションを行ったり、先生によっては授業を生徒に任せたりしてリアルタイムで展開する「同期型」のアクティブラーニングがベースとなっているのが今のやり方。僕が今日勧めたい「非同期型アクティブラーニング」がスポットライトから外されているのが現状です。

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e-Stanford Japanでの学びの形

そんな中、e-Stanford Japanは「インプット」からの「非同期型アクティブラーニング」そして「同期型アクティブラーニング」のサイクルが全ての単元ごとに続く構成になっているクラスでした。一つ一つの要素を解説していくと

インプット
先生から予め送られてきたスタンフォード大学の先生によるビデオ(+たまに小説やレポートなどの読み物)によってその単元で何を学ぶかを学習するパートになります。
この段階として課題として単元で学んだことの要約(この単元を学んで驚いたことは?などの質問)に加え、内容理解を確かめるための質問(アメリカで宗教が人気なのはなぜか?)に加えて自分の意見の論述(アメリカの状態を踏まえた上でなぜ日本人は信仰心が低いと思うか?)などを纏めて提出することが求められています。
ここで学んでいることがディスカッションの大前提になっているので絶対に飛ばせないステップです。


非同期型アクティブラーニング

ここで本題となる非同期型アクティブラーニング。リアルタイムでディスカッションを行うのではなく、オンラインのCanvasという学びのプラットフォームを使ってチャット形式でトピックについてディスカッションをしながら生徒が授業を作っていく形式になります。
先生が予めディスカッションするための質問(例:真珠湾攻撃と原爆投下について自分が学校で受けた教育と今回視聴したビデオにどのような相違点があったか?)を投稿していて、それに対して生徒が自分の意見を投稿し、他の生徒がそれに返信する形でを投稿してそれに返信する形でディスカッションが進んでいました。

例を出すとするならば、上に出したトピックで1人の生徒が自分がヨーロッパで受けた教育の事例を持ってきたと思ったらその投稿のコメントにはそれに、他の生徒が、その事例に対する質問や自分の考えを投稿し、するとまた別の生徒が新しい情報を持ってきて、、、とディスカッションが展開されていきます。1単元メッセージの総数は100を超えるほど盛り上がり、それぞれが異なった視線と価値を持っていたことから多角的な学びを享受することができました。

ここで生徒に設定されたルールは3つ
1)生産的なディスカッションを行うために、定期的にディスカッションボードをチェックすること
2)ディスカッションの期日に近い日にちから書き込み始めないこと。
3)ディスカッションが開いてから5日間のうちに必ず3つは書き込むこと

これらのルールを基に「いかにクラスに貢献したか」で評価されていました。

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同期型アクティブラーニング

そこから毎週土曜日、非同期型ディスカッション3日目あたりにzoomでのオンライン/リアルタイムのディスカッションが行われていました。前半は単元の専門家とのQ&Aセッション。後半は8人ほどのグループに別れて予め決められている(希望制+先生の指名)ファシリテーターと最後に起こった議論を纏めて発表するノートテイカーを決めてからトピックはファシリテーターが自由に決めていいという物凄く自由なディスカッションでした。リアルタイムで学びを深めた上で、そこで話したことを非同期型のディスカッションでまたシェアしたり、もっと詳しく話したりっていう風に展開されていきました。ただ、この時間は喋る生徒と喋らない生徒のギャップができていたのが少しだけ残念でした。

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非同期型アクティブラーニングのすヽめ

ここまでStanford e-Japanの学びの形について説明してきましたが、その中の要素の一つである「非同期型アクティブラーニング」を僕は日本で実施するべきだと思っています。理由は以下にあります!

理由①意見の圧倒が起きない
声の大きさ、存在感の大きさなどのファクターが全部削ぎ落とされ、必要とする文字の部分のみがスクリーン場に上がるため、全ての声が平等に表示され、平等に扱われるため、喋るのが苦手な生徒でも積極的に発信できますし、クラス内での隠れた意見が浮き出やすいです。実際Stanford e-Japanのリアルタイムのディスカッションでいつも喋らなかった子もディスカッションボードに多く投稿していたのが印象に残っています。内向的な人が多い日本において、リアルタイムで話すより、オンラインのチャットで意見を交わした方が深い対話が生まれるのではないのでしょうか?


理由②一つ一つの意見の深さが無制限
リアルタイムのディスカッションと違い、その場で自分の意見を構築し、話す(勿論この技術も必要だとは思いますが)のでは無く、相手の意見を見てから深く考えて、調べて新しい情報を提供することもできるので、一つ一つの意見の質がリアルタイムのディスカッションよりも濃く、多くの視点から書かれていたのがほとんどでした。もしディスカッションを「学びを深める」という理由でやっているのであれば、非同期型の方が確実にいいと思います。


理由③場所と時間の制限がない
学校教育で行われているディスカッションを見ていると授業時間の制限を基に10〜15分程度の浅いディスカッションで完結せざるを得ないことが多いのですが、それに対して非同期型のディスカッションでは「生徒が教室に全員いる」という条件が必要ないため、「授業が終わってから4日後の次の授業までオンライン上でディスカッションする」というような構築の仕方も可能になります。家に帰ってパソコンを立ち上げて思いついた意見を出すもよし、塾帰りの電車で触っているスマホから投稿することもよし、ネット環境とデバイスさえあればどこでも投稿できるため、授業の幅に縛られることのない学びを続けることができます。

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理由④評価をつけやすい
聖徳太子でない限り授業内でのディスカッションにおけるグループの進捗、誰が貢献しているか、誰が喋れていないか、などの評価に繋がる要因をフェアに集めることは難しく、声を大きくして存在感を増している生徒だけが良く評価されるような流れになっているように感じるのですが、それに対して、非同期型のディスカッションは全ての会話が活字に残るため、先生は全て生徒の評価を公平につけることができます。実際に、e-Stanford Japanで行われていたディスカッションは、その貢献度から、毎回、0点から5点が与えられ、きちんと調べて、議論するモチベーションとなりました。

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理由⑤不登校/休みの生徒でも参加できる
従来のやり方だと不登校や病欠した生徒はディスカッションに参加できず、次の授業まで何があったのかわからないまま過ごすことになりますが、オンライン上で非同期のディスカッションを展開したら学校に来ていない/来れない人でも同じように参加することができます。これによってよりインクルーシブな教育を展開できるのではないのでしょうか。

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このように今まで無理してリアルタイムで行われていたアクティブラーニングを非同期にするだけでこれだけのメリットが生まれてきます。アクティブラーニングと言ったらリアルタイムという固定観念から一旦外れて、非同期型も試してみてください!
ただデメリットとして、
1)生徒全員にネット環境が必要
2)先生もツールを扱えることが前提となっている
などと存在はしますが、コロナ禍でオンライン授業/オンライン化を進めた学校などは比較的スムーズに導入できるのかと思います。

先生方へのガイド:クラスでどのように非同期型ディスカッションを行えばいいのか

ここまで読んでくださった皆様。ありがとうございます。最後のこのセクションは普段僕がお世話になっていて感謝してもしきれない先生方へ普段のクラスにどのようにして非同期型ディスカッションを効果的に組み込むかの「生徒目線から」のガイドになります。

①プラットフォームをまずは選ぶ
非同期型ディスカッションを行うと言っても、プラットフォームが無ければ何もできません。理想を言えばStanford e-Japanで使われていたcanvasなのですが、学校単位の契約や料金が必要になるそうなので、僕がオススメしたいのはSlackです。普段ビジネス用のツールとして使われているのですが、以下の点において非同期型ディスカッションを行うのに向いています。
(1) チャンネル>投稿>スレッドのように3階層までスレッドが作れるため、 トピック>生徒の投稿>それに対する返信のようにディスカッションを深めさせることができます。Google classroomでもいいのですが、投稿>返信までしか深めることができません。
(2)それぞれの投稿に多彩なリアクションが可能です。
(3)返信対象をメンションすることでわかりやすくさせることができます。
これらの機能からSlackが理想なのでは...?と思っています。なおこの点に関しては自分が使ったことあるものの中で理想系を探したので、もっといいものを知っている人は教えてください!

②ルールを設定
Stanford e-Japanでは
1)生産的なディスカッションを行うために、定期的にディスカッションボードをチェックすること
2)ディスカッションの期日に近い日にちから書き込み始めないこと。
3)ディスカッションが開いてから5日間のうちに必ず3つは書き込むこと

と言ったルールが設定されていましたが、これらルールの設定が全員を巻き込み、深いディスカッションを行うのに必要だと思います。これに関しては完全に先生の好みとセンスで追加したり消したりしてもいいです。

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③ディスカッションのための質問を作る
個人的にここが一番先生の腕が問われるポイントだと思います。どうやって生徒の知的好奇心を刺激しつつ、みんなが答えられる質問を作るか。実際にStanford e-Japanで出てきた質問を例に出すと
1)アメリカで起きた日本人収容事件はまた起こると思うか?
2)日本とアメリカにおける「起業」(Entrepreneurship)はどのような違いがあるか
3)宗教はどのような形で私たちの国にインパクトを与えるか
などなどこんな感じの質問が生徒にとってはディスカッションしてて楽しかったです!

ここまでやったらプラットフォームに生徒を入れて、使い方を解説して、ディスカッションの様子を見れば気がついたら生徒が学びを手に入れています!実際に学校の授業で導入してみてください!


結論

ここまで約5000文字もの纏まりもない文章を読んでくださりありがとうございます。僕の主張としては一つだけです。「非同期型アクティブラーニングを試してみてください!」Stanford e-Japanに限らず、私が今受講しているWesleyan Universityの社会心理学のコースでも行われている手法ですし、個人的にはこっそり「隠れた教育のトレンド」だと思っています!本当に価値と学びがある教育を目指すのであればカリキュラムの中に組み込んでみたら如何でしょうか?もしわからないことがあったら私でよければ是非手伝わせてください!非同期型アクティブラーニングが当たり前になっている社会を楽しみにしています!それではまた〜!

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追記)多くの人に見られてとっても感激しています!みなさまインプットしただけだと勿体無いので、このNoteのコメント欄というプラットフォームを使って非同期型アクティブラーニング実際にやってみませんか?問いは「非同期型ディスカッションが盛り上がる質問の特徴は?」です!僕の答えを先に書いておくと「生徒にとって理解がしやすいが、答えの幅が広く、深い質問」だと思っています!コメント欄でまた会いましょう!!

追記2)僕の志望校であるミネルバ大学に進学したい高校生とそれをサポートしたい大人が集まるコミュニティを作りました。興味がある方はぜひ参加してもらえると嬉しいです!https://www.facebook.com/groups/619972475275704



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コメント (5)
@悩めるおばさん さん!
今はまだスタンダードにはなっていない授業形態ですが、確実に実現可能かつ、生徒にとっても楽しく深く学べる学びの形となっています!
誤字脱字の指摘ありがとうございます!一旦自分でみてみて直してみました!これからもよろしくお願いします!
返信ありがとうございます。
おばさんの戯言にもお付き合いいただきありがとう😊
これからも楽しみにしてます。
すてきな提案をありがとうございました。チャットは同期型のディスカッションで使ってもよさそうですね。まずみんなが意見を書いてから、気になったものを取り上げるとか。

私もいつも「いい質問」を考えているんですが、「みんなが答えられる」というところに賛成します。とっつきやすい質問→宇宙人みたいな視点の質問へ...とか?例:みんなパンが好き?ご飯が好き? →なんでどっちも作るの大変なのに主食にしてるのかな?みたいな。くだらないコメントでごめんなさい笑
とても学びになりました! 高校生でこんな文章かけるって、今の若者すごい!
質問は、「参加者に共通体験があるけど様々な考えや価値観があるテーマ」もいいと思いました。自分の経験から何かは語れるし、他にそんな考えもあるのかと視野視界が広がる可能性もあるかなと。例えば、「あなたにとって理想の教育とは?」
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