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#日本語教育能力検定試験 独学者が知っておきたい「先に言ってよ」ポイント

※この記事の所要時間:約5分

日本語教育能力検定試験をゼロから、独学で勉強を進めている方々も多いと思います。赤本を何度も読み進めるうちに基本的な知識は「あ、そういうことなのか」となんとなくわかってきます。ただ、それまでは脳の中に新しい考え方をインストールする段階。この段階で知識のベースを作っていくことで初めて点数に結びつく勉強ができていきます。また、おそらく養成講座では、必ず触れられるであろう基本的な知識は、あまり赤本では触れられていない印象です。

今回は、最初に知っておくとちょっと便利な「日本語教育能力検定試験」の前提知識についてざっくりとお伝えしていきます。

学校文法と日本語文法は別物

私もこの試験について友人に話したときに、「日本語の先生になるってことは、国語の先生になるの?」と言われたことがあります。そんな私自身、恥ずかしながら勉強を始めるまでは何が違うのかよくわかってませんでした。

具体的には、例えば以下のような違いがありますね。

動詞の活用
学校文法:未然(形)連用(形)終止(形)連体(形)仮定(形)命令(形)
日本語文法:ナイ形、マス形、辞書形、バ形、命令形、テ形、となっています。
学校文法:五段活用、上一段活用・下一段活用、カ行変格活用とサ行変格活用
日本語文法:1グループ、2グループ、3グループ

こうしたことも、赤本を読むうち徐々にわかってきます。しかし、最初はその違いに戸惑いますね。というのも赤本先生も冒頭「動詞は1、2、3グループである」といきなり言ってきます。「ここは、学校文法と日本語文法ではこうちがうよ」などと親切には教えてくれません。それで、頭の中で学校文法と日本語文法の間に間仕切りを作り、しっかり整理して理解しておく必要があります。

言語学の歴史はたかだか100年くらいのもの

これも言語学や日本語教育を勉強した方々にはあたりまえのことですが、ほぼ0から始めたわたしにとってはやや戸惑うポイントでした。

例えば、近代言語学はソシュールから始まったとも言われています。とくに私達が勉強している「日本語教育能力検定試験」に最も深い影響を及ぼしているのは「近代言語学」以降の知見です。試験にも近代以降の言語学や日本語関連の話題はたびたび出題されます。その「近代言語学の父」ソシュールの没年は1913年。それからソシュールの死後、講義を受けた元生徒たちが何十年もかけてソシュールの講義のノートをまとめ『一般言語学講義』として発行します。ということで「近代言語学」の歴史はたかたが100年程度、それも20世紀の初頭から中頃にかけて成立していった、まだまだ新しい学問分野と言えます。

それで、勉強を進めていくうちに国語と日本語教育を混同していた私は「この試験ってわりと最近の話ばっかりなの?枕草子とか源氏物語の話はほとんど出てこないんだ・・・」と思ってしまいました。

さらに、外国語教授法や言語学については、まだまだ研究途上。しかも、現在ではまだ実証できない「仮説どまり」のものばかり。ということで、試験勉強をしていて「先人たちが積み上げてきた知の塔を登っていたと思ったら、まだまだ建設途上の塔だった」みたいな感覚になりました。

外国語教授法の歴史は戦争の歴史

近代の産業革命以降、特に外国語を勉強する必要性が生じたのは、なんといっても二度の世界大戦前後。特に植民地支配には外国語教育は欠かせません。また、敵に勝つにはまず敵の考え、文化、言語を知る必要があります。国の未来を左右する戦争でなんとしても勝つためには、相手の言語を勉強するのは当然ということです。

戦争も終わり外国語勉強の理由は戦争だけでなく、経済活動などが中心となっていきます。しかし、外国語教授法開発の大きなターニングポイントになったのは戦争や植民地支配の時代ということは頭の片隅に入れておいていいように思います。

そうすると、「アメリカの軍隊が開発した外国語教授法、アーミーメソッド」、「戦前戦中の台湾や韓国、東南アジアにおける日本語教育」といったトピックスも「ああ、戦争・植民地支配関連ね」と、自分なりにまとめられます。

というのも、赤本にはそのあたりの背景が、けっこうぼんやりとしか書いてません。いろいろ複雑な部分を含む内容なので、書きにくいからだろう思います。

受験のプロでも正解できない問題が10%程度ある

過去問を解き始めると「こんな問題、誰がわかるんだ!?」というような、重箱の角をつついてつついてほじくり返しているような、マニアックな問題にぶつかります。そういう問題のインパクトは大きく「また全然わからない問題がある・・・。どうしよう」と不安になっていきます。

しかし、そうした問題は「スキップ問題」です。この試験は70%取れれば合格です。そして、この試験には、毎年毎年受験しているプロも最高でも90%しかとれない試験です。そういうプロは、学校で自身が試験対策を担当していたり、中には自分の成長のために毎年試験受け続けている方々です。そういうプロたちが、よってたかっても、良くて90%。20問くらいは必ず間違える、ということです。毎年解答速報も、各社かなり答えが割れるのもうなずけます。

ということで、この試験はどんなに勉強を頑張っても90%以上は取れない、というか取らなくてもいいということになります。ぎりぎりでもなんでも合格すれば勝ちです。「狙うは80%、結果70%で合格」というのが一番理想的だと思います。

まとめ

いかがでしょうか。赤本はたしかに受験生必携の一冊ですが、これ一冊では前提知識すべては網羅されていません。Google先生やら、先生に聞いて基礎知識は理解しておく必要があります。

基礎知識を強化する面で、私は以下の本も役立ちましたのでご紹介します。

#日本語教育能力検定試験


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