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仕事にすることの憧れと難しさ③
半年経って仕事が見つからなければ実家へ帰ること。私が一人暮らしをする時の母との条件だった。
1Kの古いアパート。洗濯機は共同。
目の前には高速道路があり、窓を開けると
黒い煤がとんでくる。
夢見た世界と現実の落差。
イラストどころか仕事も見つからない。
好きな事を仕事にするにはもれなく
辛い事も一緒にしないといけないのか。
先輩はそれで幸せなのか。
その先に描ける絵はあるのか。
…
絵は
仕事にすることの憧れと難しさ②
レセプションパーティーでの先輩は間違いなく輝いていた。美大出たての自分には眩しかった。
絵を描いて食べていく事が出来るかもしれない。自分自身は何もないのだが、身近な先輩が実現している事でそんな気持ちになった。
数日後、教授に誘われて先輩が働く店に行った。雑居ビルの地下にある薄暗くて古い、えんじ色のスナック。
ノースリーブのドレスを着た女性が先輩と気付くまで暫くかかった。
先輩は絵を描いて生活
仕事にすることの憧れと難しさ①
人の役に立つ為の絵を描くこと。
当時の私が間違いなく1番望んでいたことだった。
美大卒業と同時に大阪に出て来た。
美大の先輩の個展に誘われて教授と行った。
ギャラリーカフェでの展示。フラワーデザイナーとコラボ。お客さんも若い。
自分が今までしてきたグループ展よりも
洗練されて都会的だった。
イラストレーション専攻だった先輩は
オリジナルのポストカードをショップに置いて貰ったり、積極的に活動し
切り詰めたシンプル②
シンプルでミニマルなデザインが良い
流行りもあってその意識が強かった。
ただそこまでに行き着く過程をすっ飛ばしてた。
中身のないシンプル。意味の無い制作。
ただの手抜き。
課題の傍ら、そんな中身の無い制作を続けては展示会に出したりコンクールに応募していた。
もちろん何かに選ばれる事もなく。
切り捨てたシンプルと切り詰めたシンプル
その違いと言うか発想すら無かった。
気付けば貴重な
切り詰めたシンプル①
デザインの勉強を始めた10代後半
シンプルでミニマムなデザインが流行ってた。
学生だった自分は流行のデザインがしたくて
白いキャンバスにクロッキー程度の
さっと描いた線みたいな絵をアートと呼んだり
よく分からない英文を書いたポストカードを作ったり
本質を追求するでもなく
ただ感覚的に
ぱっと見何か分からない
しかも特に意味もない
自分よがりの制作をしていた。
シンプルで、現代