仕事にすることの憧れと難しさ②

レセプションパーティーでの先輩は間違いなく輝いていた。美大出たての自分には眩しかった。

絵を描いて食べていく事が出来るかもしれない。自分自身は何もないのだが、身近な先輩が実現している事でそんな気持ちになった。

数日後、教授に誘われて先輩が働く店に行った。雑居ビルの地下にある薄暗くて古い、えんじ色のスナック。

ノースリーブのドレスを着た女性が先輩と気付くまで暫くかかった。
先輩は絵を描いて生活している訳ではない。朝晩働いて残りの時間で絵を描き、店に売り込みに行っていたのだ。

光と影。華やかな世界に夢を見た途端の出来事。足元には課題より泥臭い生活が潜んでいるのだ。

スナックは常連客で賑わっており、その場を切り盛りする先輩とは殆ど話す事なく帰宅した。


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