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「恋の病」を治すため「熊野」へ(その6) 「大斎原(おおゆのはら)でUFOを見てしまう」の巻

【前回までのあらすじ】
後輩が年末に患った「恋の病」はなかなか良くならなかった。完治を目指して年始早々に蘇りの聖地「熊野」を目指す男二人。ただでさえライフポイントが限界の後輩は、カップルを見かけたりしてダメージを受けながら、「熊野本宮大社」に到着。さらに神が降臨したと伝わる地「大斎原(おおゆのはら)」を目指すのだった。

【日本一の大鳥居】

大斎原(おおゆのはら)は熊野本宮がもともとあった聖地であり、日本一大きな鳥居(高さ34メートル)がそびえ立ち、その向こうにはこんもりとした森が見える。

鳥居を見上げると、数え切れないほどの烏が飛んでいる。
「あれ、八咫烏っすかね・・」「まさかぁ・・」
そんな会話が自然に出るほど、不思議な場所だった。

【神が降臨したのも頷ける大斎原の森】

大斎原の社叢に入ると、なんだか包みこまれるような、暖かいような不思議な空気に包まれた。生命力があふれているように見え、木の表面をよくよく見ると、菌類が生き生きと育っていた。
怖いような、でもずっと居たいような不思議な空気だ。
第10代崇神天皇の御代にこの地に神が降臨し給うたことが、熊野本宮大社の由緒となっているが、納得しうる空気感だった。
巫女さんが二人、談笑しながら歩いてきて、その声で現実に引き戻されたが、それがなかったらずーっとボーっとしていたかもしれない。
みなさんも1度行っていただきたい。

【熊野川の河川敷で誰かが石を積んでいる】

大斎原のすぐ横は熊野川だ。こりゃ水害を受けたというのも納得の距離感である。
河川敷がとんでもなく広く、野球やサッカーができそうだった。
意図はわからないが、石が積み上げられていて賽の河原のようで不気味だった。


【伊邪那美命(いざなみのみこと)のエネルギーが伝わる産田社】

河川敷から堤防にあがり、戻って来ると「産田社」に参る。
こちらは国を産んだ伊邪那美命(いざなみのみこと)の荒御魂(あらみたま)を祀っている。神には優しい和御魂(にぎみたま)と荒々しくエネルギッシュな荒御魂(あらみたま)の2つの側面があるとされ、こちらは荒御魂が祀られる。
伊邪那美命(いざなみのみこと)は夫神・伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と共に国を産み、多くの神々を産んだが、最後に火の迦具土(かぐづち)の神を産み火傷して亡くなってしまう。祀られた場所は「古事記」では出雲、あるいは比婆山とされており、「日本書紀」では熊野とされている。
暗くなってから行ったからか、巨岩の坐す産田社は、こちらが圧倒される絵エネルギーを放っていた。

【大鳥居のライトアップ】
光源が無いため、あたりは本当に真っ暗である。
18時、大斎原の大鳥居が光りだした。年末年始の風物詩なのだそう。

色が思ったより派手で、すごく目立っている。幻想的な光景である。

【満天の星とUFO?】

辺りが暗くなっていく。気がつくと、息を呑むほどの満天の星が広がっていた。
「すっげぇぇぇ・・・・」
私の故郷は星がよく見えることで有名で天文台も設置されていた。しかし故郷と比べてもあまりに光源が無い熊野の地は、星が恐ろしいほどよく見える。
星だけではない、人工衛星だろうか、規則的に動く光がある。
「大斎原に参拝していた人たちもこの空を見たんですかね」と後輩が言う。
2000年前も同じ空を見ていたのかもしれない。
そう思うと感動がこみ上げる。

「ん?なんや、あれ!!」
そんな感動の一幕をぶち壊しにする一言が漏れる。
見るとカクカク不規則な動きをする光が見える。しかもめちゃくちゃ早い。
「あれ、UFOじゃないすか?」
怖いとか感動というより、ぶっ飛んだ動きにドン引きした。なんだか呆れた感じで二人とも見ていた。

(その7)蘇生の「つぼ湯」編へ続く。

【後輩のライフポイント】
満天の星空とUFOを見て若干回復。
🔴🔴🔴◯◯◯◯◯◯◯ 3/10

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