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人生は1度きりだから面白い『長ぐつをはいたネコと9つの命』映画感想

三日月に乗った少年が釣りをしているあの有名なロゴ『ドリームワークス』が手掛ける最新作『長ぐつをはいたネコと9つの命』を観に行きました。
世間では春休みシーズンのため劇場は親子連れのお客さんはほぼ満席、真ん中の席を取って私一人で観た身としては肩身が少し狭くて上映前は少し後悔をしていましたが、見た後はそんなこと気になっていたことが下らないと思うくらい面白かったです。
思ったよりも劇場にいた子ども達はハマっていないような感じもありましたが、、、意外と大人向け?

最近ではオーシャンズシリーズやルパン三世などのオマージュが盛り込まれたコミカルなクライム映画『バッドガイズ』(大好き)といった作品から『シュレック』や『カンフーパンダ』そして『ヒックとドラゴン』(大好き)など粒ぞろいの名作を生みだしていることで知られるドリームワークスですが、
あれ…………?どうしても日本ではディズニーやイルミネーションといった海外アニメ制作会社よりは知名度劣ってる?(そんなことない?)と思っていますのでその魅力を伝えるべく記事にしました。

〈あらすじ〉
9つの命を持っている長靴をはいたネコのプスは〈レジェンド〉であり〈お尋ね者〉で、旅をしながら人を救ったり宴会に混じってミルクを飲み、時には盗みもしながら自由気ままに過ごしていました。しかし、そんな時自分がもうすでに8回死んでいて残り1回の命になっていることに気がつきます。プスが残り1回の人生をどう過ごすか悩んでいる時に【死】そのものの象徴しているウルフが登場して「お前の命を刈り取りにきた」と告げます。
まだ死にたくないプスは伝説の存在であるなんでも願いを叶えてくれる〈願い星〉の存在を知り、9つの命を取り戻すために願い星を探す旅に出ます。
あらすじの通りウルフに追われ、さらには同じく願い星を追っている3匹の熊を率いる少女ゴルディやパイ屋のビックジャックホーナーに邪魔されながらプスは元婚約者のキティ・成り行きで仲間になったチワワ犬と共に旅をします。本当に単純で100分間何も考えずに楽しめるお気楽映画です。

〈はちゃめちゃなアクションとパロディ〉
単純明快、起承転結がはっきりしたストーリーで、アクションシーンや小気味良く笑えるパロディシーン、残酷だけど何故か笑えるコメディなどアニメーションに求める要素が詰まっていました。
3DCGアニメで描かれるプスの猫らしいしぐさやモフモフ感はもちろん楽しめますが、アクションシーンは手書きの劇画っぽく仕上がっていているため疾走感があります。バッドガイズのアクションシーンもそんな感じでまたそういう表現が見たいなと思っていたので嬉しかったです。今作では特にプスのレイピアを使った華麗で軽快な剣技と非常に相性が良く、素晴らしい演出方法でした。

ゴルティが従える3匹の熊も巨大な体躯に覆われた不気味な毛皮に鋭利に伸びきった爪とリアルを追求した熊で凶暴な一面もありますが喧嘩と笑いが絶えないところと何より人間であるゴルティを愛している人情深さがあり、対して人間であるビックジャックホーナーは太々しい体に、傲慢な態度でエクスカリバーや不死鳥などファンタジーアイテムを収集する純粋な少年の顔を見せるものの、目的のためには部下も道具の1つとしてみなしていてどんどん切り捨てる鬼畜外道すぎるキャラ設定で勧善懲悪の悪の部分の役目をしっかりとやってくれています。
このビックジャックホーナーのやるとこなすこと残酷で、触れると体が黄金になるアイテムをなんとなく部下に触れさせてみたり、当たると体がスパンコールになるユニコーンの角をプスに当てるつもりが部下に当てて逆切れしたりと、リアルではなくアニメだからこそ笑って見れるちょうどいい塩梅になっていました。

そうしてもう一人残酷なキャラが【死】の象徴として描かれるウルフです。こいつはガチで不気味で、目を血走らせ、牙をむき出しにしながら二刀流の鎌を振り回します。獰猛な動物独特の鼻から突き抜けるような呼吸音も聞こえ本能的に怖かったです。(バッドガイズの主人公ウルフとは大違い)
自分があとどれくらいの命か分からなくなる程命を軽視しているプスの元に現れたウルフは最後の命は自分で刈り取ると追いかけ始めます。いつでもプスを殺せるくらい強いですがプスが必死に願い星を探している姿を面白いと思い道中を見守り成長したところで正式に勝負を挑む、まるでハンター✖ハンターのヒソカです。
吹き替えに俳優ばっかり起用している本作ですがウルフだけはミステリアスな低音ボイスが定評の津田健次郎さんが起用されているのも本気で選んでいるな(笑)と思いました。
俳優起用に文句があるわけではありません、プスを演じた山本耕史さんも良かったです。

本作ではパロディシーンも多くその元ネタは日本でも有名な作品だったり日本の作品がモチーフにもなっていました。
特に面白かったのは序盤、プスは宴会中騒ぎすぎて眠っていた巨人を起こしてしまい、街が大パニックになってしまうのですが、そのシーンはほぼ進撃の巨人でした。
巨人が宴会をしている館を襲うシーンは、進撃の巨人で超大型巨人が街を襲うシーンと合致していたり、プスが巨人に立ち向かう姿は屋根を軽快に移動して巨人の手から逃れていたので、調査兵団が立体起動装置を駆使して巨人と戦う姿にそっくりでした。
スタッフに相当な進撃の巨人ファンがいたのでしょう(笑)
その他にも最終決戦でのウルフの戦い方は個人的にはスターウォーズファントムメナスに登場するダースモールに似ていたり、明らかに分かるシーンではマッドマックスやターミネーター2などもあったので他にあれば教えてください。

〈観た人にとって教訓となるテーマ〉
この映画のタイトルにもなっている9つの命、プスは最後の命になってしまうまで、高い所から余裕だと思って落ちたら死んだり、犬とポーカーをしていて勝ち誇っていたら噛み殺されたり、さらにはカニアレルギーで死んだりとすべて自分を特別な存在と思い込んだ傲慢さが原因で死んでいました。
最後の命になり、願い星を探す中で仲間に助けられたりすることでようやく自分は特別な存在ではなく誰かがいるから生きているのだと改心して、今までは自分の名声のために人助けをしていたプスが誰かのために立ち上がることの大切さ知ります。
そして、そもそも他の生物の命は一度きりで出会いも一度きりだと理解することで孤高なプスは誰かと旅をする楽しさやそこで出会う自然の雄大さを知ります。
人生は1度きり、その中で後悔は必ず生まれる。だから何をするのか、周りにいる誰と生きていくのかを選択し続けて前に向かって歩きながら、時には休むことが大切で、何よりも仲間や家族、そして愛する人には正直にという教訓が含まれているような気がしました。

とにかく見て後悔する映画では間違いなくないので気になった方は是非ご覧ください。







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