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退職した非常勤教師が辞めていく新課程

私は、今年度知りあいの校長から頼まれて、高校の非常勤講師を2校引き受けた。

後悔したのは1学期の中間考査からだった。

新課程では、観点別の問題を作り、観点別に採点しなくてはならない。
私は3種類の問題作りに早くも悪戦苦闘した。

こんな筈ではなかった。

その一方で、5クラスある中規模高校では3年生担当の教諭が、他人事のように、旧課程の試験だけで済ませていた。

私は地歴公民の講師だったが、知りあいの教科の主任は、全く新課程のことが分かっていなかった。

今年度から貰うようになった年金は、二校を合わせた給料よりも高かった。

それほど出ないだろうと思って、家内に気を遣って働いたのであり、もともと実際もらうようになった年金程度しか当てにされていなかった。


何とか二学期の中間考査も終わり、校長から校長室に呼ばれた。

校長から話を切り出される前から、来年度は断る旨を伝えた。

一つの小規模高校は、知りあいの校長から新任校長に代わっていたが、前校長は知りあいで、どうしてもというから引き受けたことを伝えた。

一クラスしかない寒冷地の小規模高校は、新課程だろうが旧課程だろうが、非常勤講師は手当も付かないし、全くわりに合わない。

だから、非常勤講師は私以外には、私立高校でリストラにあい退職した人が主で、一人だけ近隣の中学校の退職者がいるだけである。

中規模高校の校長は引き続き知りあいの校長だったが、私を見込んでお願いしたのにと不満を言われた。

私は試験を作らなくて良いなら引き受けると言ったが、当然向こうの希望とは合わなかった。


今日、たまたま買いものに出ていて、以前職場が同じだった数学教員に会った。

その人もとっくに退職して、非常勤講師を退職した高校で続けていた。
話をすると、その先生も今年で辞めるという。

理由を聞くと、やはり新課程だった。

この先生は株もやっていて、今非常に利益も上がっているという。

新課程で大変な思いをするよりも、株の取引で利益を上げた方が余程ましなのである。

当然、リスクを伴うが、新課程の対応で健康を害するよりもましだろう。
実は、私はこの学年末考査の作成で胃が痛くなっていた。


中規模高校の同じ地歴公民科の非常勤講師は、今年度は旧課程しか試験問題を作っていなかった。

この人は来年度も、引き受けたようだが、私より年齢が5歳上で、重い持病を持っておられる。

私は今年の経験を伝えたが、不安を訴えつつも、他にやることがないから、頑張るという。

稼いだ金の殆どが高額な税金や健康保険費などで持って行かれて、あほらしいと言いながら、教師は辞められないのだ。

こういう先生が、途中で倒れないようにだけ、願うばかりだ。

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