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Photo by
moriyamashiho
還暦を過ぎた赤ちゃん
幼い頃よく歌った童謡に野口雨情作詞、本居長世作曲の「赤い靴」があります。赤い靴を履いていた女の子が外国人に連れられて海外に渡ったという歌です。歌いながら哀しい気持ちになった記憶がありますが、実際にこの歌に哀しいエピソードがあったということは大人になってから知りました。
1 赤い靴(くつ) 履いてた 女の子
異人(いじん)さんに 連れられて 行っちゃった
2 横浜の 埠頭(はとば)から 汽船(ふね)に乗って
異人さんに 連れられて 行っちゃった
3 今では 青い目に なっちゃって
異人さんの お国に いるんだろう
4 赤い靴 見るたび 考える
異人さんに 逢(あ)うたび 考える
そんな私の元にアメリカから「女の子」がやって来ました。私が「赤い靴」を歌っていた頃です。赤ちゃんでしたが人間ではありません。長期出張でアメリカに行った父がお土産に買ってきてくれた人形です。
当時の私には初めて目にする人形でした。人間の赤ん坊と同じくらいの大きさで、髪はブロンドで青い目をしています。横にすると目を閉じて眠ります。揺すると泣きます。町中で外国人を見かけることが珍しかった時代、私が外で抱いていると「あらっ、外国の赤ちゃん?」とよく声をかけられました。
その赤ちゃんも今では還暦を過ぎました。でも外見は赤ん坊のままです。60年以上私と一緒に生活していますがこの子は年をとりません。でも「赤い靴」の女の子のように母国に帰りたかったのかもしれません。
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