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保護者が成績の書き換えを要求?

「いやー、まいった。まるで脅迫だよ」三者面談を終えて職員室に戻ってきた男性教師がぼやくように言いました。受験校を決める最後の三者面談で保護者から成績について要求があったというのです。私が教員だったときは私立高校には事前の進路相談があり、中学校の教員は受験を希望する生徒の成績を持って相談に行きました。

「打診」と呼ばれるこの相談は、高校によってはほぼ合否判定と言ってよいものです。打診で「可」となった生徒は当日の入学試験でよほどの失敗をしない限り不合格とはなりません。相談は調査書の資料を元に行われます。調査書には学業成績や特別活動の記録などが記載されていますが最も重視されるのが教科の成績です。多くの学校が「〇点以上」などという合否ラインを示していました。

保護者が要求を求めたのは成績の「書き換え」です。息子の成績が合格ラインに2点足りなかったため、父親がその2点を満たすよう調査書の書き換えを担任に求めたと言います。担任はもちろん断りました。すると父親は「点数を書き換えるくらいなんでもないことだろ」と言ったそうです。その日は父親と母親が二人で来ていましたが、母親も「そんなことどこでもやっているんじゃないですか」と言ったそうです。面談にはもちろん生徒本人もいましたが、何も言わなかったようです。 面談は予定の時間を大幅に超えてしまいましたが、担任は最後まで拒否し続けました。当然です。父親は帰り際に「融通の利かねえ教師だな。どうなるかわかってんだろ」と捨てぜりふを残したと言います。

「テストがんばったから成績上げて」と生徒が言うことはあります。もちろん半分冗談です。でも、先の保護者の場合は本気だったのでしょう。大学でも親が来て教授に子どもの単位取得を懇願する例があるようです(『大学教授こそこそ日記』)。信じられないことですがこのような保護者がいるのも現実です。

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