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「教授」と「非常勤講師」

NHKBSで放映されているドラマ『団地のふたり』を楽しく見ています。50歳を過ぎて団地の生家に暮らす幼なじみの独身女性2人のほっこりする日常を描いたものです。団地に住む人たちの人間模様がユーモラスに描かれており、俳優さんたちの自然体の演技に自分もその中に入り込んでいるような気分になります。「こんな人いるなあ」「あんなことあるなあ」と思いながら興味深く見ています。

先日見たエピソードの中で印象に残る言葉がありました。団地住人の一人「佐久間のおばちゃん」(由紀さおり)が実家に戻ってきた大学の非常勤講師の「ノエチ」(小泉今日子)に言った次のことばです。「あなた大学の非常勤講師なんですってね。ずっと大学教授だと思っていたのに」そこに嫌味は感じられません。おばちゃんはノエチの幼いころからの知り合いです。だから遠慮なく本音を言ったのでしょう。親しいからこそ言えたのだと思います。でも、おばちゃんの頭の中に「教授と非常勤講師じゃ全然違うでしょ」という認識があることは容易に想像できます。

私はそれを聞いて「やっぱりなあ」と思いました。大学教授と非常勤講師に対する世間の目です。同じように教えていても肩書きによって他者の評価は大きく異なるということです。たとえ能力にそれほどの違いがなくても肩書きが違えば評価の差は存在するようです。ドラマの小さなセリフの中に人々の意識の中にある大学教員のヒエラルキーを見た気がしました。

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