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(極私的)詩とはなにか

詩は無音である

だから声には出せない
出した時点でそれは〝歌〟となる 外気に触れれば 詩は華ある歌にカタチを変え 儚い詩はすぐに崩れ去ってしまう

だから詩は しばしば深夜に翔ぶ
人が活動をやめ 水を打ったように鎮まりかえれば ほんとうによく翔ぶ

だから詩をつくりながら 音のない音を聴くこともできる
詩に集中していると 世界から音が消える 海で溺れて 世界から音が消えたときの音 あれとよく似ている

詩は透明でもある

だから詩は 掴みどころがなく 心のなかにしか映えない

だから詩には いつでも完成といえるものがない
気になれば すぐに中身や言い方を変える とても柔らかく ふわふわしていて いつまで経っても正解しない それがいい

詩はひとつだ

歌のように全体に響くものではない
一人ずつが心で読み 心のなかでだけ会得する とてもパーソナルなもの

一対一

だからいつもたった一人 あなたにだけ向き合っている

のように 詩は無音だし透明でもあるので
本来なら あってないようなものなのだが 

ここにこうして書いたり読まれたりしているうちは 見えるし聴こえている 

無から有を生む 霞のようなものかもしれない それがいい

202310110321

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