リケジョが魔王討伐するにはこれで合ってます?【第5話】

 得体の知れない鶴が仲間になった。
 鶴と喋ってるところを見られる訳にはいかないので、とりあえず自室に連れ込んだ。

「あのー、ロマンさん?」
「何?」
「ここってロマンさんの部屋ですよね?」
「そうだけど?」
「いや、そうだけどじゃなくて! さっきからずっと、隣の部屋からうめき声がしてるんですけど、モンスターか何か飼ってるんですか!?」
「ああ、それはね、私の仲間なの。優太老っていう同級生のヤンキー。昨日仲間にしたんだけど、すぐ逃げようとするから部屋に閉じ込めてるの」
「え? 今サラッとすごいこと言いましたけど?」
「サラッと人間語話す鶴に言われたくないよ。」
「まあ、そうですけど。いつまで閉じ込めとくつもりなんですか?」
「まあ教育が済むまでかな」
「私、教育って言葉使うやつは信用してませんから! 閉じ込めて、洗脳してるんですよね!?」
「まあ、そうだね」
「やっぱり……。でも、こんなこと続けたてたら彼の両親が捜索願い出すのも時間の問題ですよ?」
「ああ、それは大丈夫。あいつほとんど家に帰ってないヤンキーだから。そこから足がつくことはないよ。」
「足がつくことはない、か。仮にも勇者を自称する人間の言葉じゃないですね。」
「まあね。でもミヤビさんも私の仲間になったんだから、優太老を手っ取り早く洗脳する方法一緒に考えてよ。」
「そうですね。このままロマンさんに任せていても、彼を必要以上に苦しめるだけですからね。あまり乗り気ではありませんが……。そうですね……。グローブ博士のところに行ってみましょう。」
「グローブ博士? 誰それ?」
「ロマンさんが知らないのも無理はありません。なにせ存在自体がアンダーグラウンドな人ですから。」
「そうなんだ。でも何でミヤビさんはそんな人知ってるの?」
「それは……、彼が私を『鶴』にした張本人だからです……!」

第5話 完

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?