リケジョが魔王討伐するにはこれで合ってます?【第2話】

 【スタンガン バイ 身】

私は、勇者だ。昨日から勇者になった。名乗ったらもうそれは勇者よ。どんな売れてない芸人だろうと、名乗ったら芸人なように、私は勇者だ。
 それを分かってない奴らがいる。

「ヒャッハーー!! ロマンが勇者だってよ! 笑わせやがる。中学の時は俺のパシリだったくせによ!」

中学の同級生だ。買い物の途中で会った。2年ぶりくらいだろうか。

「あの……、何で……、知ってるんですか? 私が勇者になりたいってこと。」

「ヒャッハー!! そりゃ、おめえの親父が俺の親父に言ってたからな! あそこ二人はマブだからな!」

 なるほど、あのクソ親父が全ての元凶なわけか。家帰ったらシバかないと……。てか、親父同士がマブなのに子供いじめられてるってどういう状況よ!? と思いながら、元いじめっ子の優太老を見つめる。

 こいつは、ものすごく分かりやすいやつだ。全部名前の逆の存在だ。優しくないガリガリの若造。それが、この優太老だ。
こいつは、どこの中学生にでも一人はいるいじめっ子と思いきや、普通とは違う。

 例えば、女である私をいじめのターゲットにしたことだ。普通、男のいじめっ子は、気弱な男の子をいじめの対象にしがちだ。
 だが、こいつは違う。中学生当時、スーパーサイヤ人顔負けの金髪で、ソフトボール投げ60mというバリバリ体育会系かつ不良少女の私をターゲットにしたのだ。マジで頭おかしい。

 フィジカル的にもこいつには勝ってたはずなのに、中学時代に私はこいつに屈した。流石に今となっては、その恨みは無いが、こいつをパーティーメンバーにしたら面白いと思った。

「なあ、優太老。私のパーティーメンバーにならないか?」

「ヒャッハー!!  やっと念願の司書になれたんだ。何でお前なんかとリスキーな冒険しなきゃならねんだよ!! 大体、仮にパーティー組むとしたら勇者は俺だろ! 何で俺がサポートメンバーなんだよ!」

「うるせえ!! おめえは黙ってパーティーに入ればいんだよ! てか、ヒャッハー!!とか世紀末の笑い方すんな!」

と、私は優待老の脇にスタンガンを差し込んだ。優待老は汚い泡を吹きながら気絶した。

第2話 完

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