リケジョが魔王討伐するにはこれで合ってます?【第1話】
【第1話:家族会議】
『……国枝ロマン様の今後の益々のご活躍をお祈り申しあげます。』
そう書かれたメールを閉じ、窓の外の雨を見た。
まるで今の私の気持ちを反映してるかのようだ……何て普通の人は思うのかもしれない。
が、ロマンという名前に反して、私にそのような感情はなかった。
全く落ち込んではいない。
これで落ちたのは100社目である。
1階のリビングに降りる。
「報告があります! 100社目も無事落ちました!」
すると、「ひゃー、やっぱりダメだったか! 流石俺の娘だ!」と父。
「100社落ちた娘にかける言葉がそれかよ! 普通慰めるとかあるだろ?」
「何? 慰めてほしかったん? そうか……。お嬢ちゃん、話聞こか?」
「娘にワンチャン狙ってる時の慰め方すなや!」
「まあまあ、二人とも落ち着いて」
母が会話に入ってきた。
「ロマンちゃん、よく頑張ったわね。やりたくもない就活をさせてごめんね。何だかんだ言って、お母さんとの約束を守ってくれて嬉しいわ。あとは好きにしていいわよ」
「良かったな、ロマン! これでやっとお前は自由の身だ! 海賊王でもみ⚪もんたの愛人でも、何でも好きなものになれ!」
「何で海賊王とみ⚪もんたの愛人が同列やねん。まあ、でも実際そんくらい突拍子ないこと言うけど怒らんでな?」
「何や急にかしこまって。何になろうとしてるんや?」父がニヤけながら言う。
「あのな……。その……。私、魔王討伐しようと思ってんねん」
「え?! 魔王討伐? お前、もしかして勇者にでもなろうとしてるんか?」
「そや。私、勇者になろうとしてんねん。」
「ハェーー。そりゃたまげたわ。関西出身の勇者なんて聞いたことないもん。な? 母たん?」
「おい! それ止めろって何回言うたら分かるん? 53のおっさんが嫁に母たんとか言うなや!」
「まあ、それはええやん。それで……、母さんはロマンが勇者になることについてどう思う?」
「せやなぁ。心配やけど、ロマンちゃんは私との約束を守ってくれたし、行かせてあげるのが筋なんやないなぁ」
「せやな……。母たんもこう言ってるし、俺も一家の大黒柱として許可出すわ。ロマン! 勇者になってこいや!」
「あざす! 国枝ロマンは立派な勇者になってくるで! あと、ベーシックインカム頼りのやつが一家の大黒柱とか言うなよな!」
第1話完
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