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西瓜爆弾

「なんだ、これ」
鏡には顔ではなく、西瓜が映っていた。
そして真ん中には、時限爆弾が付けられていた。

夏休み初日の話。
父は会社に、母は買い物へ。
その間も寝ていた私。
日が真上に来た、それと同時に起きる。
上半身を起こしたとき、やけに頭が重いと感じた。
「夜更かしかな……」
それが原因だと思っていた。

顔を洗いに洗面台に向かった。
そして現在の状況に繋がる。

「爆弾、かな?」
映画でも見たことがある、そんな形状の爆弾を触る。
外そうと考えたが、何かのきっかけで爆発すると思った。
なので、いったんは様子を見ることにした。

「暑いな……」
エアコンが壊れているため、部屋には熱気がこもる。
うちわで対応するが、それでも涼しくならない。

ピッ!

「ん?」
急に音が鳴った。
音の出どころは、爆弾だった。
カウントダウンが始まった。

「どうしよう!」
解決策を見つけようとするが、なかなか思いつかない。
そんな私を気にすることなく、時間は進んでいく。
「よし!」
私は大胆な行動に出た。
たらいを用意し、そこに水と凍りをたっぷり入れた。
直接、頭を突っ込んだ。
冷たい世界が出迎えてくれた。
だが、いきなりの温度に、そのまま意識を失った……。

「なにやってるの!」
母が私の頭を叩く。
「あんたが入ってどうするの」
そこには西瓜がたらいの中に入っていた。
「西瓜を常温で放置すると、爆発しちゃうんだからね」
私は鏡の前に立つ、そこには毎日見ている顔が映っていた。
「夢、か……」
私はもう一度、西瓜の方を見る。
氷水に浸っている西瓜は、どこか涼しげだった。


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