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パリ ゲイ術体験記 vol.37「アジ専の脅威」

フケ専•デブ専•アジ専 …といった単語がゲイの業界用語にあって、その道の会話の中ではごく普通に使われている。
フケ専 = 年配の人を好むフェチシスト..の略であり、デブ専はその名が表すまま。
アジ専はアジア人ばかりを好む人達のことで、これは相対的に見てまあまあ評判がよろしくない傾向にある。というのは、アジ専人間の特徴としてアジア人を食い入るような舐めるような視線で見詰めてきて、性格がねちっこそうで爽やかさゼロ。外見も放射能を強烈に浴び続けた人みたいに力強さがなく痩せていて、それは陽当たり不足で出荷できない畑のウリ•ナスなんかを連想させる。
そしてまた、アジ専はゲイだけではなくてヘテロセクシャル(異性愛者)の男性にもほぼ似たような傾向で同様に存在する。

だけど、これらのアジ専の方々が一般的に相手にされないかと思えば実際はそうでもなくて、相方をちゃんと見つけてカップルとして成立しているパターンもちゃんとある。よく見かけるのは、年老いたアジ専とかなり年下のアジア人のケース。
私の個人的見解としては、それはアジア人側が要求する相手の条件の中に"経済的余裕を持つ人"である事が入っている為であると読んでいる。
見た目は全くパッとしないけれど、アジ専側にお金があり安定しているから一緒になったり結婚したり..的なカップルを数多と見てきている。
私は相手がいくら経済的に潤ってそうな男でも、干からびて青っぽい痩せたネチネチ男と一緒になるくらいなら修道院生活の方がまだマシだと思っているので、自分のアジ専許容範囲はほぼ0%である。
アジ専らしき男が視線を送ってきて半径3m以内に浸入したならば、すぐさまシャッターを降ろして臨時閉店するのがのりタマ商店のモットーである。

アジア人を好む人達(ほぼ西洋人)で運営されている○○○○○クラブという名のアソシエーションがフランスにあって、立ち飲み会的な集まりが某ゲイバーを借りて週に一度開かれている。
そこに来るのは勿論、どろどろどろっと入ってくるアジ専と様々なタイプのアジア人。
そのクラブが企画した1泊での田舎への週末旅行に参加した日本人の友人がいたのだが、帰ってくるなり怒り心頭の電話を入れてきた。
なんでも、ホテルに着くなりアジア人参加者は番号札を胸元に掲げてずらっと並ばされ、西洋人だけがくじ引きをしてその晩の同室の相手が決定するシステムであったのだとか。
「あんた聞いてっ、スキャンダルよ!結局私達アジア人は人じゃなくて物扱いなのよ!」と息巻いていたが、彼をくじで引き当てた同室のフランス人が「ねぇ、日本人の伴侶って絶対に男の後ろを歩くし、日頃から逆らわない従順な性格なんだってな~イヒヒ」と言った気色悪いナメクジ男だったことも怒りに火を注いだものと思われる。そのイベント以来、その日本人の足はクラブから遠のいたようであった。

同じように自分もアジア人であるが、基本的に私はアジ専からの人気がまったくない。なぜなら、私の顔は日本で俗に言うソース顔で、むしろとんかつソースに近い。
すでに幼少期に近所のおばさん達からバタ臭い顔の子供と言われていたし、小学生時代のあだ名は外人紋次郎。(木枯らし紋次郎という股旅ものドラマが流行っていた..)
思うに、アジ専の生命線は顔がたとえ散らかっていようがアジア人は醤油顔!という価値観なのはほぼほぼ間違いない。

ちなみに、アジ専•フケ専•デブ専以外にも幾つかの"専"がある。
「オケ専」というフケ専の最上級。棺桶に片足を突っ込んでいるレベルの年寄り..ということらしい。
「ダレ専」は、性格容姿年齢に構わず誰とでもゴールできる強者的な専のこと。
最近得た情報では、体重が100kg超えの人を好きなデブ専のハイクラス「3桁専」というものがあるのだとか。

ゲイはこの世で最も好みにうるさい生物であるので自分がもてない理由も自覚はしていたけれど、自分がフケ専からの需要を待たないとミラクルが起こらないような歳になってきたのが、今頃のますます悩ましい現実なのである..

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