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看護師のKさん

20代の頃、過労で長らく入院をしていました。療養施設みたいなところでした。若かったので、一般病棟でなく、小児科病棟でした。
それは子供の患者さんばかりでしたが、病気はあっても、それはおもちゃ箱をひっくり返したような感じで驚きの連発でした。ここで様々な病気があることを学びました。

ある日、子供が病棟ばかりいてはストレスが溜まるだろうと、近所の海の見える大きな公園に付き添いの年配の看護師Kさんと私もついでに連れて行ってもらいました。本当に海も山も見えて美しい公園でした。小学生や中学生もいたと思います。

私はアンチ学校、なところがあって、そのころもなかなか心も身体も回復せず悩んでいたように思います。患者の情報は看護師さんなら知っていたと思います。

kさんは何気なく話し始めました。若い方は知りませんが、橋幸夫の大ファンだったそうで、結婚して、妊娠しておなかが大きくても追っかけるようなことをしていたらしく、さすがに旦那さんも、やめてくれ・・・と言ったそうです。そのころもファンだったかは知りませんが、音楽はお好きだったようで、五木ひろしは話は面白くないね、など話をしていました。高校も楽しかったようでその話も子供に話を楽しそうに話されていました。私は学校なんて、みたいなところが抜けきれてなかったので、その時も、今思っても、その時の話は子供に向けて話をしたのではなく、私に、そんなに人生は悪いものではないよ、元気になって、と語り掛けて下さったのだと思っています。

Kさんはそれほど親しくしていたわけではなかったですが、元気そうに見えるので看護師さんでも私のことが嫌いだった方々もいたと思いますが、私をそういう風に見ていなかったのでしょう。

身体は弱いままになってしまいましたが、様々なことを思い出し、静養時代の何気ない人のやさしさに振れた瞬間を思い出しました。
看護師のKさん、本当にありがとう。今もお元気ですか。お孫さんは大きくなられたでしょう。Kさん本当にありがとう。


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