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2/4 債券の価格の仕組み

企業が資金調達を行う時には大きく2種類ある。
株式(エクイティ)として調達するか、負債(デット)として調達するかである。

株式は配当として利益を投資家に分配、利益に応じて借入利率よりも高い配分が求められることから投資家に対しての返済義務を負わない。
他方で負債については利率としての返済は一定であるが返済義務を負っている。

負債は借入と社債に大別される。一定期間後に返済義務を負う点は一緒だが、借入は銀行を始めとした相手から相対で借りることが多い(投資家→銀行→企業の流れのため間接調達とも言われる)。他方で社債は投資家から直接資金を調達するという点で異なる(こちらは直接調達と呼ばれる)。

社債は証券としての性質がある為、市場で売買できるケースが多い。

ここでの題名である債券は社債を取得した際に投資家が得られる証券のことを指す。
上記で企業を国に置き換えればそれか国債という名の債券となる。

債券の価格は金利に連動する。厳密には金利と発行体のクレジット(信用度)に連動するが、ここでは一旦クレジットは置いておく。

一般に金利が上昇すると債券の価値は下がり、金利が低下すると債券の価値は上がる。

債券にはクーポンと呼ばれる利率があり、これは発行されたタイミングで確定している。

例えば債券Aが10年後に返済され、金利が0.25%だとする。
投資家としては10年間の間年率で0.25%の金利を受け取ることができるが、市場で新たに発行された債券Bの金利が0.5%だと、これにより市場金利は0.5%になり、相対的にAの価値は下がる。その為、市場金利が上がれば価格が下がるというイメージである。

厳密には割引率やキャッシュフローなどに基づいて算定されるところとなるがイメージは上記の様なものだ。

こうなってくると金利がいくら動けば債券価格がどのくらい変動するんだというところが気になってくる。

これを示すのがデュレーションと呼ばれるものである。
デュレーションというのは理論的にはその債券の借入期間に近づくことが示されており、簡便的なイメージを持つ場合には「残りの期間」というところで良いと思われる。例えば10年の債券を持っていたとして、金利が1%上がったら10%価値が下落する。というイメージである。

その為、金利が上昇すると思われる局面では債券価値が下がる為、年限の長い債券は嫌気されることが多い。

その他、コンベクシティという概念もある。デュレーションが金利上昇時の価格変化率だとすると、コンベクシティは金利変化時のデュレーションの変化率である。

イメージが持ちにくいところだが、金利が上がれば債券の価格は落ちるが、金利が高い水準であれば「落ち具合は少ない」というイメージだ。一方で金利が低い水準なら「落ち具合が大きい」とも言える。

市場の金利が0.1%が0.5%になる場合と、4%が4.4%になる場合には価格変動の振れ幅が変わるというものである。
デュレーション=債券の残存期間だとするとこういう事は起こり得ないのだが=ではなく、少しだけズレている、またそれは市場金利により変動するということに起因している。

それ故に金利が低い日本で0.25%が0.5%になることの円国債価値への影響は大きく、金利の高い米国で3.5%が3.75%になることの米国債価格への影響は相対的に小さく、その影響は異なるという格好である。

普通の債券であれば金利が上がれば上がるほど、価格下落のスピードは落ちていくので自然とそこはバッファーとなっていくが、

普通ではない債券(MBS)の場合は逆に価格下落のスピードが上がっていく為、急激な金利変動が起こる際にはリスク回避の動きも出てくることは要注意である。

投資家は投資した債券一つ一つを見るのに限界があるので、ポートフォリオ全体のデュレーションの状況を管理している。

金利が急激に上昇してしまうと、デュレーションも大きくなる。その為、デュレーションを調整するためにデュレーションの大きな債券を売ってしまうというわけだ。これが売りが売りを呼ぶ構図となる為に金利急上昇時に売りが重なってしまう様な事態が起こる(コンベクシティヘッジと呼ばれる)

MBSが何故その様な動きをするかというと、これはMBSが住宅ローンを担保にしていることに起因する。
金利が上がっていく局面では住宅ローンを借り入れしている人は借り換えを行わず、極力借入期間を伸ばそうとする→借入期間長くなることでデュレーションが大きくなる、というイメージだ。
一方で金利が下がる局面では多くの借入主体は借り換えを行う為、借入期間が短くなり、デュレーションも短くなる。といったところでイメージを持つと直感に合う。
借入主体により借り換えの自由が効きやすいことによるものとも言える。

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