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2023/2/3 日銀動向

本日日銀含み損8.8兆円という日経記事が出ていた。国債を指値オペや臨時オペで買い増していることや金利上昇により、前回集計時には1兆円満たなかった損失が拡大したというもの。

これに対しては円の信任がなくなるという悲観論と対外債権国である為問題ないという楽観論があるが、これは一旦置いておこう。

先日には令和臨調による「2%の物価上昇目標」を明記した共同声明に対して、新たな声明を求める提言が行われた。一時的にこれに対しては政策変更の期待から円売りの方向で相場が動いた。

政府と日銀の共同声明は2013年1月に公表されたものだが、「デフレからの脱却・持続的な成長、物価安定目標を2%とする」点などを明記したものだが、2%の目標というものを掲げてYCCからアリ地獄の様に抜け出せなくなったことを問題点として指摘したことが今回相場を動かしたものと思われる。

政府の異次元緩和を始める2013年当時、日銀は白川総裁であったが、総裁は「公約のような形で異例な政策を採れば、経済の持続的成長を損なう危険性が高いと判断していたことから、そのバランスをいかに取るか腐心した」、「2%の数字を掲げても、機械的に追求しなくてすむよう柔軟性を確保することが最大の課題で、それに全精力を注ぎ込んだ」とも述べている。

「出来るだけ早期に」とも当初の目標では述べられたが、これを掲げられてから10年が経った今、この共同声明の見直しを経済界が突きつけた形となる。

当初の目論みではこの2%は絶対的な指標とされていなかったということだが、これが事実上コミットされた目標のようになっている点にも指摘が入っている。

現状YCC維持のためにカレント・チーペストの国債の殆ど※が日銀に保有され、国債の流動性が枯渇していることや金利が押し下げられていることは報道されているが、
この2%を「長期的な目標」と位置付けて、この目標に固執するのでなく、これまでの10年の取り組みを検証した上で安定した物価上昇を伴う経済成長を目指すべきとした。

現在金利が自由に動かず円金利の適正な居所が不明瞭になっている「副作用」について世代交代前に道標を提示すべきという経済界の投げかけに日銀が如何にして応えるのかは注目が集まろう。

※コトは複雑だが端的にいえば投機勢が政策変更にbetして国債や先物を売る中で、日銀はそれを低位にとどめるべく国債の買い支えをし続けた結果、市場から売り物がなくなってしまっている。国債補完供給などと言った現物貸し出しも行われているが、、

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