就活について思うこと

今年も就活ジーンズが始まった。社会人4年目を迎える。ほとんどの学生の通り道である就職活動を一応経験してきた。以来、毎年思うことがある。コロナ前に大学を卒業している世代なので、まだ売り手市場と言われた頃の話なので、比べると情勢が厳しくなっている今の就活生からすると少しズレて見えるかもしれない。

就活を経て、芽生えたのは負の感情ばかりだった。最終的に就きたかった職に就けているので、文句を言うなとか、贅沢な悩みだとか、結果論だとか言われるのは承知している。自分ではそれ相応の努力はしてきたと自負しているので、そう思われてもかまわない。ただ、就活の途中の道のりは厳しかったのは事実。

まず、就活産業そのものが気にくわない。○クナビ、とかマ○ナビとかそういう類いのやつ。だったら使わなければいいと言われるかもしれないが、本来そうあるべきである。自分の人生は自分で決める。他人を介さず、自分の手で調べ、自分で足を運ぶべきである。他人が干渉すべき問題ではない。就活産業を牛耳るこういう会社が、他人の人生を出汁に金儲けをしているというのがどうにも納得いかなかった。就活がうまくいかなかったからそう感じるのかもしれない。実際、説明会やエントリーの申し込みの窓口になっていたにも関わらず、その向こうは企業まで繋がっておらず、機会を逃したり、自分で企業の採用ページから応募することもあった。もうそういう就活の形態が出来上がってしまっているので、今さらそこに文句を言っても仕方がないが、こういう産業をやるならきちんと就活生に対して自社の業務に責任を持つべきだ。あまり無責任。だから腹が立つ。人の人生を何だと思っているのか。

次に、面接の「人柄重視」というのはまったくあてにならない。あくまで基礎知識が必要なのはその通りである。しかし、人柄重視といっておきながら、あまりに人を試すような筆記試験や面接が多くうんざりした。その企業の支店がどこにあるとか、どこに就航しているとか、使っている機材の型式とかそういう質問をされたこともあったが、入社前にその知識は必要だろうか?ましてそれを筆記試験試験にするのか。入試ではない。「人柄重視」というのは、知識以上に対人スキルなどが業務上不可欠であるから、それを見極めるために掲げられているはずなのに、まったくもってその意味が企業側自体に理解されていない。それは本来入社後に企業側が新人に教えるべきものなのではないか。また面接でよく「好きな四字熟語は?」というような質問がされることがあるが、まあ、ここまではよい。大体の人が用意してあるから。まさか「では、2番目にすきな四字熟語はなんですか」と聞かれた時にはたまげた。もはや就活生のことを知ろうなんて意図はまったくないとわかった。おそらく、「就活本やサイトに四字熟語聞かれるぞなんて書いてあるものだから、みんな一つくらい考えてくるだろう、じゃあ、2つ目聞いてやろう、答えられるやつなんてそうそういないだろう」という魂胆だったのだろう。丸見えだった。それは人となりを見るのでもなんでもなく、ただ、試しているだけで、ものすごく不快だった。その問いで就活生の何がわかるというのか。逆に問いたい。その質問で私の何がわかりましたか?と。おそらく、人となりなんて見てなくて、反応を見ていたのだと思う。では、仮にその会社働きはじめたとして、会話からまったく脈絡もないそんな質問がされる場面はあるのだろうか。人の見方を誤っているように見える。学生時代の経験から話が膨らむでもなく、一方通行的にそういう類いの質問が続けられたのでほんとうにうんざりだった。仮に次の機会があっても自分は来ないなと思ったし、落とされても別に悔しくないと直後から思っていた。まあ、変な質問をされてひねり出した変な答えを返していたので、どうせ落とされているだろうなと思ったら案の定落ちていた。いずれにしろこの雰囲気では長く働けない。ちょうどよかった。社会というのはよくできたもので、そういう企業はあとになって、不祥事、内部不正、トラブル、インシデント、事故とボロボロと出てくるのであった。不思議には思わなかった。むしろ納得だった。ざまぁ見ろである。

人柄重視で本当にその言葉通り、私のことを深く掘り下げていってくれたのは1社だけだった。そもそも面接会場の雰囲気が明るい。迎え入れようという空気感があった。ひとつの問に答えると、向こうからのリプライがたくさんある。自然とまたこちらからのリプライが出る。もはや面接というより自然な会話だった。コミュニケーション能力というのは、このように自然な流れの中で測られるべきものだと思わされた。働き始めてからも難しい質問をされることはあっても、流れとまったく関係のない突拍子もない質問をされることはあり得ない。あったとしたらその質問をしてくる方のコミュニケーション能力に問題がある。この企業には心から入りたいと思えた。

つまり、面接は企業側が就活生を選ぶ場であるが、逆に、就活生側が企業を選ぶ場でもある。特に同業複数社受けている場合にはその中のどこを選ぶかの決め手になる。一番いい手応えのあった企業の面接は本当にただ会話をしているような感覚で、話していてもはや楽しかったし、心地よかった。その企業の過去や背景から成る現在の企業理念が、まさしくその面接に表れていて、心から入社したいと思えた。

他にも制度的に問題だろと思うことはあったが、それはまた後日。

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