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無痛分娩 体験レポート

2020年秋に娘を出産した。

退院日まで面会なし。忘れ物があっても受付を介しての荷物受け渡しも禁止という厳しい病院で、予定日よりも20日ほど早めに無痛分娩で出産をした。自然分娩に比べると楽だったのかもしれないが、マスクをしたままの出産だった。

分娩日が早まった理由は、妊婦検診で行われるNSTで3日連続良くない結果が出た為である。「胎児機能不全」と言われ、赤ちゃんがお腹のなかで苦しそうにしているので、なるべく早く出してあげたいと先生から告げられた。

立ち会い出産はできなかったものの、夫は仕事が休みの日だった為、LINEの文章で実況中継をしていた。その時のやり取りが消えないうちに、体験レポートをまとめておこうと思う。

【入院日】
●15:30 受付にて手続き
部屋へ案内され、すぐに着替える。15:45には点滴をするというスピード感。ちなみに私は、注射に対して何も感じないタイプなのだが、この時の注射の針は輸血用という事もあり、太くて痛かった記憶がある。
(もう少しゆっくりさせてよ笑)
●16:00 麻酔テスト
腕をつねられ、「この痛みが10の場合、この痛みはどのくらいですか?」と聞かれながら、太ももやお腹をつねられる。左が効きにくいという事で、左向きに寝るよう指示を受ける。麻酔を循環させるには寝返りをうつんだな、面白いなと思った。
●16:30 本格的な麻酔開始
●17:00 バルーン(誘発分娩で行われる処置の1つで、子宮を人工的に広げる器具)を挿入

↑病院に到着してからここまでが全く休む暇もなく、とにかく忙しかった。

バルーン挿入も想像していた以上に痛かった。が、挿入するまえの処置(おそらく導尿?)が特に痛みを感じた。
ちなみに、バルーンは子宮口が5cm開いたら自然と抜け落ちていくものらしい。

●18:15 麻酔の副作用による強烈な痒みが発生
痒みが出るとは思っていなかった。これが割りとつらかった。張りに張ったお腹も、感覚が鈍くなりつつある足までもとにかくすべてが痒い。

と、ここで夕飯タイム。笑
とても美味しい野菜カレーだった。

●20:06
今まで経験したことのないほどの痛みに襲われる。が、息を長めに吐くと少し和らぐ。約5分間隔で陣痛が来るものの「少しまばらなので、まだ前駆陣痛ですね」と言われ絶望する。

痛い時は言ってくださいと言われていたので、伝えると
「夕飯を食べ終えてから3時間空けば麻酔自体は使えるのですが、できれば朝の5時以降の処置まで耐えてほしい」と返される。
5時以降の処置というのは、本来病院側が組んでいたスケジュールの事らしい。
睡眠導入剤をいれてもらい、湯たんぽをあてながら、なんとか耐えられた。
結局のところ前駆陣痛だったので、最終的には疲れが勝って眠れる。それでも30分おきには痛みで起きたが、思っていたよりも眠れた気がする。
22時~0時、4時以降は殆ど痛みで起きていた。

●6:00 本格的に麻酔・促進剤を追加
バルーンを入れているけど、まだ子宮口1cmと言われる。
無痛分娩は2日がかりになる人も居ると聞いていたので、自分もそうなってしまうのかもしれないと気が遠くなった。
●6:50 破水処置 羊水を出す
先生(待ってました)がグリグリしたあとに一言。
「赤ちゃんはまだ上の方でプカプカしてるね」…やはり先が長そう。
●7:00
麻酔と促進剤の効力に感動。知らないうちに一気に6cmまで子宮口が開く。若干の気持ち悪さ(吐き気)あり。
●7:20 促進剤の量をさらに追加
●7:35 導尿
どのように行われているのか全く見えない。昨日のような痛さはなく、麻酔に感謝。
●8:30 子宮口が7cmほど開いているが、陣痛はまだ不規則との事で麻酔を切ることに。(せっかく効いていたのに)

この間、麻酔を切ってからの本陣痛は数えている限りで20回以上はあった。
●9:45 麻酔再開を要望
「わざわざ無痛分娩にしたのに、ここまで耐えられるのなら自然分娩でも良かったんじゃない?」と笑われながら麻酔を追加される。胎児機能不全と言われた事もあり、なるべく早く出産をしたいと思い頑張っていたのもあるが、どの程度麻酔を追加しても良いのかも分からずずっと耐えていた。
10時台も比較的我慢しながら過ごしていた。

●11:15 子宮口8cm
麻酔が効いていない時間に
「とてもとても痛いけれど、痛い時間は短いし、生理痛よりは楽かもしれない」と伝えると、またしても「自然分娩の方が良かったですよ」と返される。「せっかくお金払ってるんですから、麻酔はいくら追加しても同じ値段ですからね」とも言われた。が、早く産みたいという気持ちしかなかった。

●11:20 発熱
おそらくこれも副作用で、38℃あると言われる。
●11:38
限界の痛みが2分おきになる。麻酔再開。寒気と頭痛も。
●12:00
助産師さんから、「こんなに陣痛耐えられる人久しぶりに見ました」と言われ、自己肯定感があがる。
●12:32 子宮口9cm
●13:46 髪の毛が見える
ベテラン感漂う助産師さんが登場し、「もう髪の毛が見えているから、いきんでみよう」と言われる。
この時、麻酔は完ぺきに効いていて何も痛くない。「上手にいきめそうなら、このまま分娩室に向かっても良い」と言われても、いきむって何状態。麻酔のせいで何をどうすれば良いのかも分からず、とにかくセンスが皆無。

●14:20 限界の痛み
●14:45
いきみ方が少し上手くなってきていると言われ、分娩室へ移動。

ドクターを入れて分娩室には5人居た。

最後いきむ時、4人が一斉にお腹をぐーーーーーーっと押してきた。
これは、事前に痛いという口コミを見ていたが、個人的には痛くなかった。
押される力に負けないように、抵抗するようにいきんでくださいと言われ、3回目で成功。

●15:10 出産
ぱっちりと大きな目をあけて生まれてきた娘は、照明に照らされていて
UFOから降りてきた宇宙人みたいだった。いや、とても可愛かった。
あまりに長く感じた妊娠生活も振り返り、「やっと会えたね」という気持ちで泣いた。

出産時、大量の出血があり、意識が遠のく。
会陰切開をされず裂けたところを縫ってもらったが、結局このあと4ヶ月ほど傷が痛むことになった。

意識が戻り、麻酔が切れた時に一気に痛みが襲ってきた事で過呼吸になってしまい、本当は使いたくないという強い薬(座薬)を入れてもらった。

凍らせた産褥ナプキンと座薬がこの世にあって良かったと心から思った。
ベッドの横にある荷物をとりたいだけなのに、起き上がることすらできず
肘が擦り剝けて絆創膏をもらったりした。
面会なしの入院生活…。こうなると分かっていたら、荷物にマジックハンドを入れたのにと強く思った。笑

母子手帳に書かれたトータルの分娩時間としては9時間ちょっとの出産で、思っていたよりも短かった。

先ほどにも書いた通り、無痛分娩は2日間かかる人も多いらしい。
早く終わらせたかった私にとっては、自分の限界をその場で判断しながら量を調整出来るのは大きなメリットだった。

とにかく、産む瞬間に関しては何も痛みがなかった。

副作用もいきみ方に関しても、体質によるものだと思う。
もっと、すんなり産めるというレポも多い。

が、私が次に出産するとなれば、自然分娩を選ぶかもしれない。

金額を考えると割りに合っていなかった。

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