主人公

好きな人を自分の人生の主人公にした

その人が輝いてみえた

その人がもっとたくさん輝けるように

自分なりに頑張ってるつもりだった

いつしかその人が羨ましくなった

私はその人しか見てないのに

その人は私を見ていない

その人はいろんな人の人生の主人公なのかもしれない

だから

すごく羨ましかった

誰かに見られてることが、認められていることが、求められていることが

はじめは見返りなんて求めていなかった

その人が喜んでくれるだけでよかった

でもだんだん物足りなくなった

私も認められたい

えらいねって褒めて欲しい

ある日、憎悪が芽生えた

なんで認めてくれないの?

妬み嫉みに身体が蝕まれた

気付けば私の人生の主人公のその人は

私の人生を狂わせる人だと思った

主人公じゃない

悪役だ

苦しくなった

主人公がいなくなった

自分の人生なのに

誰かを好きになって

その人無しではいられなくなって

そしてなにもかもがなくなった


主人公はゆっくり目を瞑った

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