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未確認情報とルール適用のセンス (1533文字)

 1994年(平成6年)4月26日20時12分頃、中華航空140便が名古屋空港への着陸進入中に墜落し、乗員乗客271人中264人が死亡したという事故がありました。

 この日は、21時から好きなテレビドラマがありビデオで録画予約していたのですが、この事故の報道特別番組が放送されたため、その特番をずっと見ていました。その特番が終わったらドラマの録画を手動で行おうと思っていたのです。

 そのドラマはフジテレビで放送される予定だったので、この事故の特番もフジテレビのを見ていました。
 特番では、同じ内容のことを繰り返し読み上げ、炎上している旅客機の同じ映像を繰り返し放送しており、たまに専門家と証する人に電話でインタビューをするのですが、その専門家も現場で事故の検証をしていないので、一般論しか話すことができません。それは仕方ないことです。

 そんな中、その特番を進行していた安藤優子さんが、「未確認情報ですが、・・・。」と語り出しました。
 未確認情報ってことは、デマや嘘という可能性があるわけで、「この人、なんでそんなこと放送で発表するんだろう?」と思いました。この段階で、事故機に私の親戚等が乗っていないことが分かっていたので、私は「未確認情報なんか聞く必要ないな。」と思った記憶があります。そのため、その未確認情報の内容はまったく覚えていません。

 そして2016年4月、熊本地震の際にネットに「動物園からライオンが逃げた」というフェイクニュース(嘘報道)がSNSに流されました。このニュースには街中をライオンが歩いているという加工映像が添付されていたので、かなり悪質なものでした。

 このフェイクニュースは、テレビの情報番組では「ネット時代の暗部」といった観点からいろいろ批判の意見が出されていました。

 しかし、私は「テレビは以前、未確認情報を流していたでしょ。テレビ出演者であるあなた方が主張する内容は正しいとしても、テレビ出演者であるあなた方にそれを言う資格はないんじゃないの。」と思いました。

 以前、フジテレビの日曜朝の『ワイドナショー』で、将棋の対局の際にマスクを着用しなかった棋士(本人はマスクを付け忘れたと釈明しています。)が失格負けとなったことが報道された際、ゲストの安藤優子さんは「日本将棋連盟はもうちょっと臨機応変な対応があってもよかったんじゃないかなと思います。」と言いました。つまり、マスクをしないで対局した棋士を失格させたことに否定的な意見を述べたわけです。
 安藤さんのこの発言の直後に、同じくゲストのバカリズムさんは「マスク着用がルールだったんだから、ルール違反は失格負けでいいんじゃないですか。」と発言しました。
 番組出演者の方々もバカリズムさんの見解に異義がなかったようで、バカリズムさんの見解がこの報道についての議論の結論になりました。

 私もバカリズムさんの見解に賛成です。当時は新型コロナウイルス禍の中で、いろいろな場所でマスク着用が求められていましたから、日本将棋連盟が対局時にマスク着用を義務づけたことは当然と言えます。
 そうでないとしても、ルールが決められていて、そのルールに従うことに同意して対局に臨んだのだから、ルールに違反したら失格となるのは当然と思います。
 その場その場でルールの適用を変えるのなら、ルールを尊重するのではなく、ルールを適用させるかどうか決める人を尊重することになってしまいます。それでは「法による統治」が形骸化してしまいます。

 これらのことがあって、テレビ報道とかテレビジャーナリズムにはいい印象を持っていません。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #中華航空140便墜落事故 #熊本地震 #安藤優子

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