見出し画像

温泉地で見つけたいいもの ②千原温泉の「お持ち帰り温泉」そんじょそこらの化粧水なら、この温泉つけとこ♪

千原温泉(島根県)は、足元の岩盤の間からこんこんと湧き上がる神秘の湯。
古くから「きりきず、やけど、皮膚病」に治癒力があるとされて多くの人がやってきた湯治場だ。

ここの温泉では「持ち帰り温泉」と「スプレーボトル」の販売をしている。

私がこの温泉に初めて行ったのは20年近く前。川のほとりでほとばしる源泉のところで、1組のご夫婦がお湯を汲んでいた。

道路を下ったところに屋根がけしてあり、源泉を汲めるようになっている

そんなに年配には見えなかったのだが、当時60代だっただろうか。
「私はね、被爆者なの。と言っても赤ちゃんだったので記憶はないんだけど」と奥さんがいう。

関東出身、当時30代の私にとって、戦争は昔話だと思っていたから、「被爆の後遺症にこのお湯がいい」と容器にお湯を汲んで帰るご婦人の話に衝撃を受けた。

広島県から千原温泉の湯を求めて通っていた人は多かったようで、その方と遭遇したのがなんだかとても記憶に残っている。

温泉には2通りの温泉がある。
自然湧出」の温泉と「掘削」されている温泉である。
掘削されている温泉は「掘削自噴」と「動力揚湯」にわかれる。

「自然湧出」は地中から自然に湧き上がっている温泉。
対して「掘削」は、人為的に地中を掘って温泉を得ているものである。

掘削でも自然湧出の周辺で、浅いところを掘ったものと「大深度掘削」といって1000メートル以上の深いところから温泉を採取しているものがある。近年のレジャーランド的入浴施設は、かなり深いところから泉源を得ているものが多い。こういった温泉は自噴ではなく、動力、つまり機械の力を使ってお湯を吸い上げている。

昔、専門家の先生が、「水たまりにね、ストローを何本も何本も入れて、あっちこっちでチューチュー吸い上げたら、そりゃあ温泉水はすぐなくなっちゃうよ」って言っていたのを思い出す。温泉水は「有限な地下資源なのだから」と。

話はそれたが、温泉にもいろいろあるのである。

掘削する技術がない時代は、温泉とは、自然に湧き上がってきていたものだった。

開湯伝説には高僧の発見伝説なんかもあったりして、自然に湧き上がってきた温泉というものは、神様の意図というか、この地上で、人々を癒すための役目を与えられてこの世に出ているのではないかと思う。


千原温泉の女湯。昔のまんまで全然変わらないのがイイ

千原温泉は地中深くに染み込んだ雨水が、三瓶火山のマグマにも揉まれ、ふたたび地表に現れた自然の恵みである。しかも、足元から湧いているその場所に湯船があって、生まれたての源泉に浸かることができる稀有な温泉だ。

最近ではアトピーなどの皮膚トラブルに悩む人の利用も多いそうだが、皮膚トラブルに困っている人はとても多い。

私も新卒で銀行員になり、合わない仕事のせいかストレスMAXのときにアトピーみたいなニキビ肌になってしまい、大変な思いをした。今でもニキビ跡が残っているし、肌には全く自信がないのだが、皮膚は体のデトックス器官。皮膚を通して毒素を排出したからか、病気らしい病気にはかかったことはない。

皮膚はあくまでも表面的に表れているだけで、体に溜め込んだ毒素をどうにかして排出することが大事というわけだ。

お湯はぬるい。だから長く入って、じんわり、温泉成分を浸透させられる。
訪れた日は少し肌寒い日だったので、あまり人もいなくてゆっくりとできた。

明治40年頃の新聞記事。当時からお湯の効能が注目されていたのだろう

療養目的の温泉で、建物も少しも近代化することなく、ひなびた雰囲気がそのまま残っている。

お湯に入っていたら尿意を催してきてトイレに行きたくなった。腎臓には尿の排泄によって体内に溜め込んだ老廃物や毒素を排出する効果があるから、千原温泉のお湯は、相当デトックス効果、高そうだわ。

難点といえば、トイレは建物を出たところにしかない。しかも、和式のトイレが1つだけ。

なので、ちょっと面倒だし、若い人はちょっと面食らっちゃうかもしれないけれど、とても素敵な雰囲気だから、ぜひ訪ねてみてほしい。

入湯料は500円。
持ち帰り温泉が1リットル100円、源泉のスプレーボトルは300円

泉質:ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉

スプレーボトルの案内文には
「アトピー・乾燥肌・湿疹・かぶれなどにスプレー」
「ケガ・虫さされには、脱脂綿・ガーゼなどにスプレーし湿布する」
「持ち帰って使用しても十分な効能が働きます。使い続けることで直接的な効果だけでなく、持続的な肌トラブルの改善効果を実感して頂けることと思います」とある。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?