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すべて決まっている


#創作大賞2023

34歳のとき、何度も問い続けた。

“本当にやりたいことは何?望んでいる未来は?”

「やっぱり、結婚して子どもが欲しい!」

それが、心の内側から湧いてきた答えだった。

20代で結婚したけど、子どもに恵まれなかったおかげでスムーズに離婚できた。

そんな私のこどもの頃から変わらない願いはただ一つ。
見た目は男の子みたいな小学生の頃から、
“子どもが欲しい”。
なぜか、ずっと思っていた。

そんなに長いこと願っているなら、叶えてあげなきゃ!
その時は、休みもなく一日中仕事をしていた。
この仕事をしている限り出会いもない、辞めよう。

貯金もほとんどない中、なぜか揺るぎない気持ちで、
“仕事も一人暮らしも辞めて、実家に戻って一から出直そう”
そう決めた。

まわりの人に
「やっぱり、結婚して子どもが欲しいと思ったんで、仕事辞めます」。
何もあてもない中、
“願いは口にしたら叶うって言うし”
と軽い気持ちで話してまわった。

そんな時だ!
不思議なことが起きた。
仕事でやり取りのある男性が、赤ちゃんを抱っこしている映像がみえた。
夢をみているわけではなく、自分の部屋にいる時に、
スクリーンの映像をみるように、その光景がみえた。

それが、一度だけではなく、何度も。
病院かな、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしているみたい…

何度もその映像をみせられるのと同時に、
いろんな人から、その男性をオススメされた。
「結婚して子ども欲しいなら、あの人いいんじゃない⁈」と。

それまで、全くその男性を恋愛対象として見ていなかった。
みんなが“好青年だね”って言うような素敵な人だったけど、
“六つ年上でバツイチの私は対象外”
そう決めつけていた。

でも、何度も映像をみせられることで、
“この人が、私の子どものお父さんになる人かもしれない”
そう思うようになった…

それから、自然な流れがあり、その彼とお付き合いをし、結婚し、39歳で出産した。

初めての出産、朦朧とした意識の中…
あの何度もみせられていた映像のままの光景が、目の前に広がった。

そうそうこのアングル、この照明!

分娩室の明るい照明の下で、
生まれたばかりの我が子を抱く彼の姿があった。

あの映像をみせられてから
これまでの流れをいろいろ思い出して
言葉にはならない感動があった。

よく、
“人生はすべて決まっている。自分でシナリオを書いて、生まれてくる。”
なんて聞くけど、
本当にそうかもしれない。
そんな事を思った。

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